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【第10回】僕だけがいない街の巻③


僕だけがいない街の巻③

 前々回、前回と、2回に渡って「僕だけがいない街」のアニメ版を見てきましたが、今回はコミック版についてあれこれ語ります。

 アニメ版で、物語全体の大まかな流れや、連続誘拐事件の真犯人がわかったので、コミック版はアニメ版のように2回に分けたりせず、全9巻を一気に読みました。

 読み終わって最初に思ったのは、アニメ版にはない細かい要素がたくさん盛り込まれていて面白かったということ。
 アニメを見た時には「お母さんが殺されているのを見て、どうして悟は逃げちゃったのかな」とか「ケンヤが弁護士、ヒロミが医者になっているけど、身近な友達が弁護士と医者になるって、普通はありえない」といったニュアンスのことを書きました。ですが、真犯人に母親殺しの実行犯に仕立て上げられるところは、コミック版では丁寧に描かれていて「これは、悟が殺したと思われるわ」と納得しました。ケンヤが弁護士になるストーリーも、納得ができるものでした。ヒロミが医者になっているところは、コミックでは大きく取り上げられてなかったので、変に引っかかることなく、読み進められました。

 アニメでは描かれなかった、キャンプ場で真犯人を追い詰めるシーンも楽しめましたし、今の時代に戻ってからのアイリとの関わり方もよかった。アニメ版では、ラストにアイリがポンと出てきて「ちょっと強引では?」と思ったのですが、コミックでは、悟が記憶を取り戻すところからアイリが関わっていて、納得のいく終わり方でしたね。

 それと、全9巻で完結というボリュームがちょうどいい。本編が8巻で完結して、そこでは描ききれなかったスピンオフ的な物語が第9巻に収録されている。人気のある作品だと、強引に本編を延ばそうとして、話がダレたり、スピンオフのストーリーを無理矢理膨らませようとして「なんだかなぁ〜」という感じになってしまいがちですが、この巻数でスパッと終わらせたのは素晴らしいですね。しかも、最初から最後まで、一気に読める量なのに、見どころが多くて、すごく濃い。コミック版は、読み応えのあるいい作品でした。

 ここまで書いた感じですと、僕はアニメ版よりコミック版の方が上に思っているように見えますが、自分の中の評価は、アニメ版もコミック版も、同じぐらい面白いというのが正直なところです。
 先ほど書いた、母親殺しの犯人に仕立てあげられるところや、車椅子で飛び降りた下にエアマットがあるところなど、アニメ版には個人的に引っかかるシーンがありましたが、絵が綺麗ですし、「僕だけがいない街」の世界に入りやすい。いろんな時代を行ったり来たりするので、コミックでは説明のためのセリフで紙面に文字が多くなってしまいますが、アニメは音声なのでスッと入ってくる。原作ファンの方の中には、全12話でまとめるためにカットしてしまったシーンがあるのが不満に思う方もいると思いますが、アニメはアニメでいいところがあると思うんですよね。

 アニメ版を見ていた時から思っていた、悟が小学校時代に登場する大人の男の人が少ないという問題(これによって、誰が犯人がわかりやすくなってしまう)は、コミック版でも解消されませんでしたが、アニメ版でひっかかった部分はほぼ解消されましたし、楽しく読めるコミックだったと思います。
 これから「僕だけがいない街」を見ようという方には、アニメ版を見てからコミック版を読むことをオススメします。コミック版を見てからアニメ版を見ると「なんだよ、アニメ版は、あの大事なところをカットするのかよ!」と不満に思ってしまいますが、アニメ版から見ると世界に入りやすいですし「なるほど。コミック版をみて納得した!」と満足できます。

 次回は、映画「メアリと魔女の花」について、あれこれ語ります。

主人公の悟は「リバイバル」という現象のせいで時間が巻き戻ってしまうことがある。

母親を殺されてしまう悟。本当の犯人は、悟に疑いがかかるよう緻密な計画をたてていた…。
 

 
土田晃之Profile
1972年9月1日生まれ/埼玉県出身/ピンでタレント活動中/太田プロダクション所属
ガンダム・サッカー・家電など多方面に興味あり。
 










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