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【第18回】藤津亮太 漫画試し読み放浪記




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第18回】 宇崎ちゃんは遊びたい!

 犬や猫が飼い主のところに寄って来て甘えたり、何か催促したりする姿はとてもかわいらしい。ああいう純真な姿は、ペットならではのものではないだろうか。だから、人間が“小動物っぽく”ぐいぐい迫ってくるとかえって対処に困る。『宇崎ちゃんは遊びたい!』はそういう作品だ。

 タイトルロールの宇崎ちゃんは、大学2年生。彼女はなにかと、先輩の桜井真一につきまとう。真一はひとりが好きなのだが、宇崎ちゃんからすると、ぼっちの先輩を気にかけて構ってあげているということで、実にぐいぐい迫ってくる。かくして真一は、宇崎ちゃんと、バッティングセンターに行ったりして、なんとなく放課後や休日を過ごすことになる。

 端から見れば「もう付き合っちゃえよ!」としか言いようのない状況なのだが、宇崎ちゃんはどこまで“そういう”つもりがあるのか、連載開始当初ははっきり描かれない。その一方で、宇崎ちゃんのちょっとエッチな様子(マッサージチェアで悶絶したりする)が描かれ、真一はそれをできるだけ意識しないようにする。というか、意識しないようにと意識するほどに、後輩のセクシーな部分を意識してしまう。挙げ句、電車の中で体が密着してしまった時など(宇崎ちゃんは小柄だが漫画チックにかなりのグラマーである)、真一は気絶をしてしまうのである。

 ただ1巻の中盤過ぎあたりで、宇崎ちゃんはどうやら真一が好きらしい描写が出てくる。真一が、バイト先の亜細亜実(あさい・あみ)を下の名前で呼ぶのに不満そうな顔を浮かべるのだ。真一からすると、バイト先の店長が亜実の父だから、区別をするために名前で読んでいるだけなのだが、宇崎ちゃんからするとそこが気に入らないらしい。そしてそんな宇崎ちゃんの無意識の不機嫌に気が付かない真一。

 無自覚な宇崎ちゃんと、鈍感な真一。だからこそ生まれている理想の“ぬるま湯”。温度をあげて恋人関係になっちゃうより、ずっとこのままのほうが楽しそうだ。

 

 
宇崎ちゃんは、ぐいぐいぐいぐい。
 


マッサージチェアを堪能(?)。この表情には先輩もたじたじです。

 <Profile>
藤津亮太
アニメ評論家。主な著書は『アニメ評論家宣言』(扶桑社)、『声優語』(一迅社)など。アニメなどのコラムを多数執筆。


















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