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いか文庫のマンガ通への道  第23回



~いか文庫のメンバー4人による、おすすめマンガの往復書簡~
 
いか文庫のマンガ通への道 第23回
愛を見せろ

バイトもりもりへ

今回紹介したい漫画は『愛を見せろ』という、1巻読みきりの作品です。

登場人物は、いわゆる不良の女子中学生と、その子が通う学校の臨時教師と、その教師の小学生の息子です。この女子中学生「ナミ」が、臨時教師である「長川」が住むアパートの上の階に引っ越してきた日から、お話は始まります。たまたま上下階に住んでいることを知ったと同時に、今は別居している息子「けんた」が長川の家に訪ねてくるのだけれど、3人はそれぞれに深い心の傷を抱えていることが共通点なの。ナミはそれを隠すようにバカ明るいし、長川は寡黙だし、息子のけんたも何も話そうとしない。その3人がちょっとずつ、お互いに手を差しのべ合って……先がどうなるのか、続きは読んでみてね。

でね、始まってすぐの20ページに、ガーン!って胸を撃ち抜かれるセリフがあるの。けんたが学校でいじめを受けていることがわかった時に、ナミがけんたにかける言葉なんだけど(ここではあえて、そのセリフは言わないでおくね)、それをきっかけに私は、昔自分が投げかけられた一言を思い出したんだ。

「自分のことが好きじゃない奴なんて、誰が好きになるか!」

…っていう、友達に片思いを相談した時に言われた一言。そもそも私が「自分のことが嫌い」って言ったから、こう返って来たんだけど、その一言が、もう、とにかく、一生忘れないんじゃ無いかってほど、ガーン!って胸に突き刺さったのよね。そして、「そりゃそうだわ!」って、すとーん!って腑に落ちて、たぶんもう10年以上前の話なのに、事あるごとに思い出すんだよ。自信が無いことって、カッコ悪いことなんだ!って、そこで初めて気がつかされたの。それこそ、価値観がぐるん!って変わった瞬間でした。で、その言われた時の自分の表情が、さっき話した20ページのけんたの表情と、きっと一緒だったに違いないって思って、言葉の力はすごいなぁ!と改めて思ったのでした。

バイトもりもりは、人から言われて、ガーン!ってなったり、すごく腑に落ちた!って一言はある?あったら、ぜひ教えて欲しいです。読んでみた感想と一緒に聞かせてね。
店主へ

お手紙ありがとうございます。
『愛を見せろ』読みました!

正直に言わせてください。最初1話を読んだ時、これぞまさに「マンガ通への道」だな…!と思いました。というのも、最初の印象は苦手かもしれない、と思ったからです。登場人物3人がそれぞれ抱える「心の傷」。それに向き合う勇気が読者の私も持てないかもしれない、と思ったんです。

でも今は、読めてよかった!と心から思っています。それはきっと、これが“3人の”話だったから。私はこの3人の関係性がとても好きです。家庭の事情で高校進学を諦めているナミに、教師の長川は現実的に進学する道はある、だから足掻けと伝える。一方、別々に暮らす息子のけんたに気持ちをうまく伝えることができない長川に対しては、ナミが子どもの立場から気持ちをぶつける。そしてお父さんに似て寡黙で自分の気持ちを誰にも言えないけんたに、ナミは正直になることと強くなることを教える。できないこととできることがそれぞれにあって、それがお互いの足りないところを埋めている。3人とも凸凹だけど、気づかないうちに互いを救い合って必要としている。この3人を見ていると、こんな自分も誰かに必要とされるそんな存在になれるんじゃないかって思えてくる―
気づいたら、最初に感じた苦手な印象はすっかり消えて、むしろ自分の中の漫画の新しい扉が開いたような爽快感がありました。この3人の関係性みたいに、漫画との出会いも思いがけないものが大事なんだなぁと改めて感じることのできた作品でした。
おすすめしていただき、本当にありがとうございます!

さて、店主からの質問「人から言われてガ―ン!」ってなったり腑に落ちた言葉、ですが、私は
「あと10年あったらなんでもできるよ」
です。
そう、店主の言葉です(笑)。店主と私はちょうど10歳違って、私がこれから進む道でうじうじと悩んでしまっていた時、店主がさらりと言ってくれました。もちろん店主のこれまでの経験や歩んできた道のりがあっての言葉なんだと思いますが、誰に言われるよりもずっとガーン!と響いて、たしかにそうだ!と思いました。道に迷った時、いつも思い出しては勇気をもらっている言葉です。



「高校行かない」と現状に諦めているナミに、教師である長川は……。

少ない言葉の中にも想いがあふれるけんた。
いか文庫 Profile
お店も商店も持たない「エア本屋」。本屋さんと組んでフェアを展開するなど、本に関わる分野で活動する【店主】と【バイトちゃん】2人組。今年からサブスタッフ【バイトもりもり】【バイトぱん】も加わって、本をお薦めするお手紙を、4人でやり取りしていきます。























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