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【第26回】藤津亮太 漫画試し読み放浪記




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第26回】 NYANKEES

 本作のコンセプトは「町の野良猫を不良として描く」。このコロンブスの卵のような発想が、ピタリとはまって人気作となった。

 考えてみればネコマンガも、ヤンキーマンガもマンガのジャンルとしては“定番”。そんな“定番”同士のマリアージュが意外な味わいを生み出した。なにしろ「かわいい」と「かっこいい」が合体しているのである。いうなればポテトチップスにチョコレートをかけたあのお菓子のような存在こそが『ニャンキーズ』なのだ。

 物語はキジトラのオス、リューセイが猫鳴町へとやってきたことから始まる。リューセイはさっそく地元の猫たちとモメて、頭をはってるタイガ(チャトラ・オス)と一戦交えることになる。実はリューセイは、ある猫を探していたのだ。それは「片目に傷のある三毛猫の雄」(三毛猫の雄は遺伝的な理由で非常に希少)だった。

 作品は、基本的に人間の姿で進行し、不良漫画的にかっこよくキメながらも、合間合間に実際の猫の姿を登場させて、そのかわいらしいギャップでクスリと笑いを誘う。

 例えば、第1巻で、メスのミイが隣町のグループ「猫鬼(びょうき)の尾」捕らえられ、リューセイやタイガたちが仲間で助けにいこうと駆け出すシーン。全員でミイを助けるつもりが、現地に到着したのはリューセイとタイガのみ。なぜかといえば、道路のトカゲに気を引かれたり、エサをいつもくれるおっちゃんの一声に呼ばれたり、キウイの苗(マタタビ科)の魅力に逆らえなかったりと、いかにも猫な理由で、仲間たちは次々と脱落してしまったのだ。ロングショットで誘惑に負ける猫たちの行動を見せるこのあたりの笑いの感覚は、猫マンガの元祖『ホワッツマイケル』の笑いにも通じるところがある。

 野良猫も不良も、現実的に考えると手放しに「かわいい」「かっこいい」というわけにはいかない存在だ。だからこそマンガでは、野良猫の可愛さと志、不良たちの仁義と強さを素直に楽しみたい。

 
キジトラのオス、リューセイは、早速メスのメイをナンパ。


番長のタイガは、そんな軟派なリューセイに我慢ならない。

 <Profile>
藤津亮太
アニメ評論家。主な著書は『アニメ評論家宣言』(扶桑社)、『声優語』(一迅社)など。アニメなどのコラムを多数執筆。


























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