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【第63回】やさしい雨 松崎克俊 コラム『野良猫と便利屋』



一人のおじさんが、ビルから飛び降りて自殺しようとしていました。
しかし、落ちる直前にやはり死ぬのが怖くなったおじさんは、手を離すと落ちて死んでしまう状況で「誰か助けて」と誰に言うでもなく呟きます。
そこに通りかかった一人の若者。彼はおじさんを助け、騒動に巻き込まれないように逃げ道も教えてあげました。
見ず知らず困っている人に手を差し伸べられる人間もいるのだと、生きている事に希望を見出したおじさんに若者は告げます。
「では3千円になります」
彼は、便利屋さんだったのです…

この始まり方がもう~最高!ギャップもインパクトも抜群で、一気に引き込まれてしまいましたわ!
 
『野良猫と便利屋』

『野良猫と便利屋』は、そんな便利屋「ネコノテ」に勤める青年・玄野(くろの)と、彼に助けられ「ネコノテ」で働く事になった柴さん、そして依頼者たちの人間ドラマを描いたマンガです。
そう、このマンガに描かれてるのって、「人間」なんですよね。なんというか、「キャラクター」というよりは、「人間」だなぁって。
皆が過去にいろんな経験をして、その過去を背負って今があるんだけど、それが辛い思い出だったとしても、暗い時もあれば明るい時もあって、前向きな時もあればイライラする時もある。
玄野くんは基本的に無表情なんだけど、だからと言って感情が無いわけじゃない。
柴さんも自殺は思いとどまったけれど、明るく生きてるというワケではないしでもネガティブというワケでもないし。
記号になっていない「人間」を描いてくれているのが凄く面白いし、そういうマンガがあるって事がなんだか凄く嬉しいんです。

依頼人たちも、それぞれ抱えてるものや状況があって、そこを死にぞこないのおじさんのお節介によって救われていく。
いや、救うって言うのもちょっと違うな。一歩前進させる、ぐらいなのかも。
その姿を見て、読んでる自分も温かい気持ちになる。
柴さんの言葉や行動はもしかしたら口うるさく感じる事もあるかもしれないけど、でもその業務の域を超えた「余計なお世話」が、もしかしたら依頼人たちや読んでる自分にも必要な事なのかな、なんて思うのです。

自分もそうなんですけど、人と関わる事とか対人関係が苦手な人って結構いると思うんです。
特に自分なんかは、人に何かを頼むとかお願いする事も苦手なんですね。
だけど「便利屋」っていう仕事にしてる人になら気兼ねなく話せたり頼ったりできる、っていうのが凄く理解できて。自分と関係性のない人だからこそできる事があるというか。
この気持ちが共感できる人には、このマンガの柴さんを見ていろいろ思うところはあるだろうし、何なら玄野くんの方がいいなぁって思うだろうし(コンビニの接客は無機質な方がいいって思う感覚に似てる)、そういう人が読んだ後に自分の日常生活にフィードバックできる何かがある、これはそういうマンガだと思います。

普段マンガを読まない人に是非読んでもらいたいし(普段マンガを読まない人がこのコラムを読むのかって話もありますけど、まぁまぁそれは。まぁまぁ。)、マンガが好きな人には心に残るマンガとして超・オススメさせて頂きます!
 
   松崎ココが好きっ!


実はまだ玄野くん以上に過去に何があったのかはっきりと明かされてない柴さん。こういう部分で想像させるのがスバラシイですね


こんな依頼もあります。こういう部分が凄くリアル。


いいなぁ。ここのシーン。こういう言葉や表情がグッときますよね。


誰かを救った事が、また誰かの助けになっていく。自分もいろんな人に助けられた分、誰かを助けてあげられてるのかな、なんて思ったり。

松崎克俊Profile
1983年9月2日生まれ/福岡県出身/お笑いコンビ・やさしい雨として活動中/太田プロダクション所属
アニメ・ゲーム・漫画が大好き。二次元女性キャラクターしか愛せないという名言もあり。
 
 
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