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いか文庫のマンガ通への道  第33回



~いか文庫のメンバー4人による、おすすめマンガの往復書簡~
 
いか文庫のマンガ通への道 第33回
『明日を綴る写真館』
バイトちゃんへ

実は私、学生時代写真部だったの…って、前に言ったことあったかも? 今回は、「写真」にまつわるとてもいい漫画を読んだので紹介しますね。

この漫画の主人公は子供の頃から写真を撮ることに夢中で、しっかりとした技術も身につけてフリーのカメラマンになった五十嵐太一です。若くして才能も認められていて、コンテストでも優勝するほどの腕前なのだけれど、自分自身が作品に魅力を感じられずずっとモヤモヤしています。でもある時、ふと出会った1枚の写真にグッと心を掴まれるの。そしてその写真を撮った人が経営する写真館を訪れて、「弟子にしてください」と申し出ることから物語が始まります。

でね、この太一という人はつねに冷静な性格でかつポーカーフェイスで、私とはまるで正反対なんだけれど、「人を撮ることが苦手」というところが一緒なんだよね。私はスキルも無い上にただ趣味でやっていただけだから、太一と比べるのもおこがましいのだけれど、プロでも苦手なことってあるんだなぁって驚いたんだ。

でもふと思い出したの。その写真部に所属していた大学3年生の時、アメリカで1ヶ月くらいホームステイしていた時期があったんだけど、ホストファミリーの三姉妹の写真は、どれもすごくお気に入りのものが撮れてたのよね。それってもしかして、太一が写真館で働いているうちに見つける大事なことと繋がってるのかもしれないなって気づいたの。そして、あぁ、ひさしぶりにアルバムを開いて、三姉妹に再会してみようかなって気持ちにもなったの。それが、この漫画を読み終えた瞬間の感情と似ているなっても思ったんだよね…。
バイトちゃんはそんな、もう一度見返したくなる写真って、ある?

様々な立場の人たちがこの写真館に写真を撮りに訪れるのだけれど、ネタバレしないようにちょっとだけ伝えておくと、私は第一話に出てくる、記念写真を撮りに来た夫婦がとてもいいなと思いました。あと別枠で、写真館のご主人の奥さんと、飼っている犬の五郎さんもお気に入りです。バイトちゃんが気になった登場人物も、ぜひ教えてね。
店主へ

お手紙ありがとうございます!
店主が写真部だった話は何度か聞いたことがあります!でも店主が人物を撮影するのが苦手だったのは知らなかったです。言われてみればたしかに、店主に写真を撮ってもらったことがないかも! 

今回の漫画は写真館が舞台だったので、とても楽しみに読みました。というのも、私は結婚記念日に毎年同じ写真館で写真を撮っているから。そもそも何で撮影しようと思ったかというと、とあるご夫婦が毎年の結婚記念日に撮影した60年にもわたる写真を、町の写真館で見たからなんです。新婚夫婦だった二人、その後お子さんが生まれて三人家族に、しばらくして四人家族に、さらにそのお子さんたちが成長して孫が生まれ……って家族が増えていく様子や、主役のご夫婦が最初は肩ひじ張っていたのが、だんだんと表情に柔らかさが出ていくのも良くて。家族の歴史だけでなく、二人の関係性の変化が写真で見てわかるのもいいなと思ったんですよね。まったく知らない人の写真だけど、とても憧れて。

店主からの質問、もう一度見返したくなる写真は、その写真館で撮影している私の家族写真です。今年で7枚目になります。毎年時期が近くなると、何を着て行こうか?今年はどんな風に撮ってもらおうか?撮影後はどこに行こうか?何食べようか?っていっぱい考える時間もあって、どれを見てもその時のことを思い出せるし、何回も見ちゃいます。でも、いつか娘に反抗期が訪れて、参加拒否されたりするのかな……。

主人公の太一と師匠の鮫島さんが、とある写真を探しに倉庫に行くシーン。膨大な写真の山を見た太一が「これだけの思い出が、この写真館で作られたんですね」って言うところがありますよね。家族の写真はもちろん、就職活動のために撮られたもの、子供や愛犬の写真など、いろんな人のいろんな思いがこもっている写真館という場所はやっぱりとても特別で、町の写真館はこれからもずっとあってほしいなぁとも感じました。

私の一番好きなキャラクターは、太一が弟子入りする写真館のオーナー鮫島さんです。弟子入りしてきた太一にどんなアドバイスをするのかな?と思ったら、「君のほうが技術があるから。」と言って、基本的には何も教えないスタイルなんだもん、びっくり!えっ、せっかく弟子入りしたんだから、教えてあげてよ!って太一の代わりに言ってあげたくなりました(笑)。でも、鮫島さんから出た何気ない言葉が、太一の胸に響いていくのが、じんわりといいなぁと感じました。

最後に。こちらベトナムはみんな自撮りが好きで、女の人はだいたい自分の一番イケてる写真を携帯の待受画像にしているんです。私は写真に写るのが苦手だけど、ベトナム風待ち受け画面はいつか作ってみたいなぁと思っています!



写真の良さは、技術だけから生まれるものじゃない。気づき始める主人公・太一。

鮫島写真館の倉庫には、たくさんの写真が…。
いか文庫 Profile
お店も商店も持たない「エア本屋」だけれど、本屋さんと組んでフェアを展開するなど、本に関わる分野で活動しています。
【店主】と、スタッフの3人【バイトちゃん】【バイトもりもり】【バイトぱん】が、本をお薦めするお手紙をやり取りしていきます。

































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