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【第106回】松崎克俊 コラム『メニューをどうぞ~異世界レストランに転職しました~』


 
今回紹介するのは『メニューをどうぞ~異世界レストランに転職しました~』。女性料理人が異世界に行ってコックになるというお話です。 
異世界ものではあるけれど、異世界「転生」ではなく異世界「転移」ですね。3 年契約らしいです。契約内容の確認大事。
 
『メニューをどうぞ~異世界レストランに転職しました~
 
街中で【リゾート地の料理人募集】の張り紙を見た「前島栞(まえじま・しおり)」は見事採用となるも、勤め先は海外どころか異世界。 
そりゃリゾート地なのかもしれないけど! 
「国外」って言ってて「海外」とは言ってないけど! 
説明された「フィルダニア」(異世界にある国の一つ)っていう名前、現実にどこかにありそうな名前だけど! 
そんな状況で料理人として活躍する彼女が清々しくて、読んでて気持ち良いのです。 

まず、その世界の食材の異質さ。 
「魔生物」というらしいのですが、それらは
■ 煮ると悪臭を放ちグロテスクな色に変化する魚
■ 普通に焼くと一瞬で焦げてしまう脂の多すぎる肉
■ 焼くと鉱物のように硬く変化してしまう肉
など、クセのあるものだらけ! 
1、2 つ目のやつはともかく 3 つ目のやつに関してはマジで意味が分からないですよね。焼くと鉱物のようにピカピカのカチンコチンになるとか。 
こういう食材のバリエーションの多さがまさに異世界で、読んでてワクワクする部分ですね! 

次に、栞(通称・シリィ)の料理の腕。 
料理のバリエーションが少なく、極端な味付けのものばかりだったという地において、元々シェフとして働いていた彼女が持ち込んだ料理の技術の数々は、異世界の人々、国までも動かすものになっていきます。 
それも、最初から魔生物の食材を上手く扱えたわけではなく、試行錯誤しながらも見事に扱えるようになり周りからも認められるという成長も感じられて、なんだか勝手に 
「どうだ!これが日本の料理人だ!!」 
と誇らしくなってしまうのです。 

自分は全然料理できないのに。 
家に包丁が無いので野菜炒めを作る時は白菜や玉ねぎを手でむしってフライパンに入れてるような自分なのに。
あくまで「勝手に」なんですが、ちょっとした優越感に浸らせてくれるのが読んでて気持ち良いのです。 

あと、シリィの性格も重要です! 
異世界に来たと分かってからすぐに状況を把握しようとしたり 
明らかにめちゃくちゃ凄い武器っぽいものを「マグロ包丁」にしてしまったり 
良いように言うと順応性が高い、悪く言うと大雑把な彼女の性格が、物語を嫌味なく無理なく進めてくれている気がするんです。 
また、異世界で誰も知ってる人がいないという孤独な状況においてこの性格が救いになっていたり、殿下との関係性が親密になるかならないかっていう以前に恋愛に関して興味があるのかどうか分からないところも面白いし、けれども料理に対してはまっすぐで真面目で。 
「料理バカ」なシリィの面白さがそこかしこに散りばめられていて、単純に面白いのです。 

何故異世界の言葉が分かるようになるのか 
何故そこまでして異世界人の料理が求められるのか 

その辺の細かい疑問がちゃんと説明されているので、読んでてストレスを感じないのがまた素晴らしくて! 
それでいて、何故シリィにそんな力があるのかという事は(まだ)明かされてないという、説明する部分としない部分の取捨選択や公開するタイミングが上手いんだろうなぁと思うのです。 
このマンガ一つで、設定・キャラクター・構成の面白さを感じる事ができ、大満足です!
 
   松崎ココが好きっ!


マグロ包丁どころじゃないキラキラを感じるんですがそれは


シリィを手伝ってくれる双子。「おししょー」呼びがめっちゃカワイイ


常にこんな事言ってるので、まともに仕事してる印象が薄い殿下。。


▲何かでっけえ生き物の皮をいとも簡単に剥いでいくシリィ。

松崎克俊Profile
1983年9月2日生まれ/福岡県出身/現在はピン芸人として活動中/太田プロダクション所属
アニメ・ゲーム・漫画が大好き。二次元女性キャラクターしか愛せないという名言もあり。
 
 
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