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いか文庫のマンガ通への道  第38回



~いか文庫のメンバー4人による、おすすめマンガの往復書簡~
 
いか文庫のマンガ通への道 第38回
メゾン刻の湯
店主へ

店主は、“心から安らぐ場所”ってありますか?
最近読んだ漫画『メゾン刻(とき)の湯』は、「刻の湯」という銭湯が舞台のお話です。主人公の湊マヒコは、大学を卒業したけれど就職先が決まらず、ひょんなことからこの「刻の湯」で住み込みで働くことになります。そこには、謎めいたイケメンの管理人や、ハーフの幼馴染、変わり者の天才プログラマ兼DJ、足の不自由な美容師さんなど、ちょっとずつ変わった人たちが暮らしていました。ユニークな同居人たちと比較して、自分は何の役にも立っていないし、このままここにいていいんだろうかと悩むマヒコ。でも、一緒に暮らしていくうちに、それぞれ人に言えない秘密や悩みを抱えていることを知ります。

きちんとした大人になりなさいと言われて育って、でも就職できなくて、社会の役に立てない、異質なよそ者だと感じて生きていた彼にとって刻の湯とそこで暮らす住人たちの存在は、徐々に自分を受け入れてくれる大事な場所になっていきます。でもそんな刻の湯に危機が訪れて…

銭湯での共同生活、と聞くとなんだかほのぼのとしたお話かと思うかもしれませんが、住人たちが生きている「世間」とか「社会」にはやはり冷たい厳しい現実があって。でもその中で「刻の湯」という存在がみんなの心と体を温める場所になっている、というところに私はすごく惹かれました。いろんな問題を抱えた、もしくは何もない自分をそのまま受け入れてくれる場所。そういう場所や人がいるっていうことが幸せなことなんだなあとこの漫画を読みながら感じました。私にとっては「本屋」がそうかもしれません。

ところで、刻の湯には謎めいた管理人のアキラさんをはじめ、いろんなワケありな人たちが暮らしているのですが、店主はどの人が一番気になりましたか?私は、刻の湯のオーナーである戸塚さんの孫で小学生のリョータです。ある日突然お母さんから刻の湯に預けられて、学校にも刻の湯にもなじめなかったリョータ。でもそんな彼に、戸塚さんは「どうしたい?」と尋ねます。子どもだからとか関係なく、自分にとって何が大切かを考えで道を選んで進んでいくリョータをすごく尊敬してしまいました。
またよかったらぜひ教えてくださいね!
バイトもりもりへ

『メゾン刻の湯』読んだよ!上下巻なのにこのボリューム感、すごいね。もりもりの手紙にもあったとおり私も、「ほのぼのしてると思いきや…」って思いながらの一気読みでした。

私がこの物語の中で一番気になったのは……ゴスピかな。クールでちょっと影がある人って、自分が正反対だからか、すごく気になるんだよね。それに、上巻ではわりと外側から眺めている印象だったゴスピが、下巻で大きく取り上げられるじゃない?そのテーマが、「絶対に人に知られたく無いこと」だった、というのもあります。

私ね、相手の人から、その人の中身や考えていることを聞き出すことが苦手なんだよね。その人のことをもっとたくさん知りたいって思って、何が好きなんだろう、どんな経験をしてきたんだろう、どんな日々を送っているんだろう…って、ぶわーって想像を膨らませるのだけれど、それをどう聞き出したらいいのかがわからないの。本当は話したくなかったら申し訳無いな、って気持ちの方が大きくなっちゃうから。

そしてその分、自分のことをあれやこれや話しちゃって、それはそれでちょっと落ち込む。あぁ、自分のことばっかりアピールしてるみたいになっちゃった…本当は聞く側に立ちたいのに…凹、って(笑)。

だから、この物語に出てくるいろいろな事情を抱えた住人たちに、多くを語らず、でもちょうど良く寄り添って理解してあげられているアキラさんにも、憧れを抱いたかな。そして、だんだんそういう立場になっていく主人公マヒコにも。この2人もまた、様々なことを抱えているからこそそうなれるんだろうけど、自分も、ほんの少しでもああなれたらいいなって思いました。

あと。銭湯とか湯船につかったときの「ふぇ〜〜〜」って声を出す瞬間の幸福感と、体の空気を入れ替えているようなあの感じ、あるじゃない?この漫画を読んだ後の気持ちって、あの感じに近いものがあるね。ちょくちょく出てくる、登場人物たちが「刻の湯」につかるときの表情を見て、その気持ちを思い出したいなとも思いました。

そういえば私、お風呂に入っている時にアイデアが生まれることが多いんだった。いか文庫を始めようって思ったのも湯船の中だったし。私にとってはお風呂が、安らげて、リラックスできて、気持ちを開放させられる場所なのかもしれないな。気づかせてくれる漫画のおすすめ、ありがとう!いか文庫の次のアイデアを出しに、お風呂、行ってきます!
 

卒業式の帰り、主人公・マヒコがずぶ濡れでたどり着いたのは、銭湯!
 
めんどくさいことは考えず、ただその温かさに身を任せる。
いか文庫 Profile
お店も商店も持たない「エア本屋」だけれど、本屋さんと組んでフェアを展開するなど、本に関わる分野で活動しています。
【店主】と、スタッフの3人【バイトちゃん】【バイトもりもり】【バイトぱん】が、本をお薦めするお手紙をやり取りしていきます。






































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