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【第39回】藤津亮太 漫画試し読み放浪記『今度会ったら××しようか』




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第39回】 今度あったら××しようか

 好きなあのひとを独占したい。恋とエゴイズムは切っても切り離せない。『今度会ったら××しようか』は、そんな恋とエゴイズムの物語だ。

 地味で不器用な女子高生・寧々子は、美術教師の勅使瓦譲に告白するが、「一生好きになりません」とまで言われてフラれてしまう。だが諦めきれない寧々子は強引にデートを決めてしまう。デートの当日、大雨の中、待ち続ける寧々子。その様子を見に来た勅使瓦は、そこで交通事故に遭い死んでしまう。

 事故から一週間。自室に閉じこもっていた寧々子は、自分が魂だけになり、自分の体が外を歩いているのに気づく。寧々子の体に入っているのは、実は死んだ勅使瓦の魂だった。寧々子の同級生で、血の繋がらない弟の勅使瓦憬のことが好きなのだと説明する勅使瓦。だが告白もかなわないまま死んでしまったので、最期に寧々子の体を借りて憬とセックスをさせてほしいというのだ。

 勅使瓦は、さわやかなルックスで性格も天然ぽいもののクセはない。そんな彼が恋故のエゴイズムを前面に出して、寧々子に体を貸してほしいと頼み込む。勅使瓦を好きな寧々子はそれに戸惑いながらも、ならば自分の体を使って憬と恋愛をするところから始めたらどうか、と提案する。こうして寧々子と勅使瓦の奇妙な“共存生活”がはじまる。

 本作の中では、心が恋する相手を求めているということと、体が相手の体を求めていることは直接的に結びついて描かれている。

 寧々子の体を勅使川の魂が共有するということは、自らの恋を貫くために自分の心と体を切り離すことだから、大きなパラドックスがそこに生まれることになる。寧々子が恋する勅使河原のエゴに寄り添おうとすればするほど、恋の成就は遠のくのである。

 本作がおもしろいのはここからだ。1巻の重要な部分なのでボカして描くが、そんな状況を踏まえた上で本作は寧々子のエゴを描きはじめるのだ。寧々子は自分のエゴで、この恋と体のパラドックスのなかに積極的に身を投じていくことになる。

 勅使瓦のエゴと寧々子のエゴ。このもつれた糸を解く鍵はひとえに憬の心がどこにあるかに関わってくる。果たして次巻以降、憬の心は描かれるのか。そこで憬のエゴはどう描かれるのか。そこが注目点になってくるはずだ。

 

美術教師・勅使瓦先生に告白するも、さらりとフラれてしまう寧々子。


自分の身体に誰かが入り込み、自身はその光景を上から見ているというシュールな状況。
 
 <Profile>
藤津亮太
アニメ評論家。主な著書は『アニメ評論家宣言』(扶桑社)、『声優語』(一迅社)など。アニメなどのコラムを多数執筆。







































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