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【第40回】藤津亮太 漫画試し読み放浪記『BLUE MOMENT』




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第40回】 BLUE MOMENT

『BLUE MOMENT』の舞台は、自然災害から人命を守るために活動する「SDM本部(特別災害対策本部)」。さまざまな気象災害が描かれる本作だが、その根っこの部分にあるのはサイエンスコミュニケーションとリスクコミュニケーションの大切さだ。

 サイエンスコミュニケーションは、科学的なトピックを非専門家に伝えること。そしてリスクコミュニケーションは、社会を取り巻くリスクを行政・専門家・市民などが共有し、意思疎通を経てひとつの合意を得ること。気象災害は、どうしてその災害が起こるかという科学的なメカニズムと、その災害が巻き起こすリスクという2つの側面があり、そこに迅速に対応するには、サイエンスコミュニケーションとリスクコミュニケーションという発想が欠かせない。

 ところが本作の重要人物である、気象庁気象研究所に勤める研究官、晴原勘九朗は、コミュニケーションというものにとんと無頓着なのである。“雲王子”という愛称でテレビに出る時こそ愛想よく、気象の基礎を解説するが、その素顔は無愛想、ぶっきらぼう。ただSDM本部の一員として、気象災害から人の命を守りたいと思う気持ちは誰にも負けていない。

 こんなコミュニケーションに難のある晴原のもとに研究助手としてやってきたのが、雲田彩。仕事はできるが、はっきりなんでも口にしてしまうタイプの雲田は、前職をケンカの末にやめ、気象研究所に再就職をすることになったのだ。

 当然、晴原と雲田は、衝突する。しかし衝突を経て、雲田は晴原の「ひとりでも救いたい」という思いの深さを記し、晴原は雲田の中に、自分にはない前向きな発想を知る。こうした2人の関係の変化の結果、1巻ラストの「先生は口がわるすぎます!」という雲田の大事な一言がでてくる。

 専門知識もリスクも、相手に伝わってこそ意味があり、だからこそ人は動く。ぶっきらぼうで一方的な言い方では、人は自発的に動くようにはならない。雲田は「非常事態の時こそ もっと相手の言葉に寄り添った 言葉を選ぶべきです」と言う。

 この言葉は、晴原の欠点を指摘すると同時に、サイエンスコミュニケーションとリスクコミュニケーションにおいて大事なことを語っている言葉にもなっている。ここに気象災害を扱った本作の特徴がある。

 

晴原に、何でも物おじせず話す雲田。彼女によって、晴原は変わっていくのか…⁉


普段は無愛想でぶっきらぼうな晴原も、テレビに出ると……にこやか~な雲王子。
 
 <Profile>
藤津亮太
アニメ評論家。主な著書は『アニメ評論家宣言』(扶桑社)、『声優語』(一迅社)など。アニメなどのコラムを多数執筆。








































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