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【コラム】経営マインドの視点で読む異世界コミック。逆境の時こそ経営者の真価が問われる。




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第42回】 中ボスさんレベル99、最強の部下たちとともに二周目突入!


  「悪の組織」は勤勉である、というのはしばしば冗談のネタとして取り上げられる。なにしろ、悪の組織には目的があり、関係者はその実現のための日々知恵を絞っている。正義の味方によって計画が水泡に帰しても、やがてくる大願成就の日を夢見てプランBへと邁進する。おもしろ半分の見立てとはいえ、このように、「悪の組織」と意識が高いビジネス組織は重なり合う部分が多いのである。

 だから『中ボスさんレベル99、最強の部下たちとともに二周目突入!』が、「ダンジョン経営もの」となるのは、とても自然な結果といえる。勇者たちをダンジョンでしっかり迎え撃つには、ダンジョンのスタッフ全体ののモチベーションを高く保つことがまず不可欠だ。しかし、ナルゴアが“中ボス”として赴任した赴任した“しじまの洞窟”は、最悪の状況に陥っていた。

 

▲赴任したダンジョンを確認し、あまりの荒廃っぷりに頭を抱える中ボス・ナルゴア

▲第2階層を担当するアウラウネは、自分たちのやり方に口を出すなと釘をさす

 ダンジョンは荒れ果てており、モンスターたちのマインドはそれ以上に荒廃していた。“しじまの洞窟”は、勇者たちの本拠に一番近い「最初のダンジョン」。つまり「そんなに攻略レベルを高める必要はない」場所でもあった。それがモンスターたちのモチベーションを削ぐ方向に働いてしまった。

 また最初の洞窟であるがゆえに、魔王の本拠からは遠く、本部のケアが行き届かず、ガバナンスも足りていない状況も同時にあった。こうした環境が生み出した悪循環が、やる気ゼロのモンスターたちを生み出し、ダンジョンを廃墟同然に状態に陥らせていたのだ。

 “中ボス”として赴任したナルゴアは、さっそく“しじまの洞窟”の改革に取り組み始める。に厳しく、時に優しく、時には体を張りながら、部下の信頼を勝ち得ていくナルゴア。誰だって自分が仕事で役立っているという実感がほしい。ナルゴアはモンスターたちの、その部分をすくい上げて、ダンジョンの中の“空気”を変えていく。この展開は、バイトにせよ社員にせよ、働いた経験のある人にとってはとてもよくわかる展開だ。

 

任されることで顔つきも変わった第1階層担当のポイズンスライム

ダンジョン内の食堂・ゴブリン亭の料理人3兄弟も、心も動かされ…

 そこについに勇者がやってくる。しかも彼らは圧倒的な強さを持っている。ナルゴアはこの難局にいかに対応するのか。

 逆境の時こそ経営者の真価が問われる。経営の神様と尊敬を集める松下幸之助はそれを「困難こそ発展の好機」という言葉で語った。果たしてナルゴアは「困難を発展の好機」とすることができるのか。経営マインドの視点を織り交ぜながら本作を読むと、面白さが増すはずだ。

 <Profile>
藤津亮太
アニメ評論家。主な著書は『アニメ評論家宣言』(扶桑社)、『声優語』(一迅社)など。アニメなどのコラムを多数執筆。










































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