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【コラム】好きな人と一緒にいたい。「究極のやさしい世界」に溢れている。


【第129回】松崎克俊 コラム『テキトーなメイドのお姉さんと偉そうで一途な坊っちゃん

お金持ちの家に生まれた 8 歳の男の子は、腕を組んで偉そうにこう言いました。

「おいババア、俺が大人になったら嫁にしてやってもいいぞ?」

それを言われたメイドのバイトをしていた女子大生は特に何も考えず、テキトーにこう返しました。

「わぁ!よろしくお願いしますー」

それから 10 年。

「おい!大人になったぞ結婚しろよ!!!」
「アレまだ覚えてたんですか!?」


これが、『テキトーなメイドのお姉さんと偉そうで一途な坊っちゃん』のはじまり。

最高です。
100 点満点中の 5 億点です。
 
 
『テキトーなメイドのお姉さんと偉そうで一途な坊っちゃん

こんなに、最初のやりとりだけで内容を説明できて、こういうもの(いわゆるひとつの、「おねショタ」、ってやつですかね?)が好きな人にこれはこういうもの(いわゆるひとつの、「おねショタ」、ってやつですかね?)が描かれたマンガなんだぞと伝えられる。

「つかみは OK」というやつです。

多分、普段マンガを読まない人にも、このマンガがざっくりどういう内容なのか、想像は広がりやすいのではないでしょうか?

ただ、想像が広がりやすいがゆえに、内容が「想像通り」になりやすいという弱点も抱えています。
その 10 年の間にどんな事があったのか
この 10 年後のさらにその後どうなるのか

これが全てのはじまり。感動して泣いてる坊ちゃんがポイント。

▲10年後。涙を浮かべてる坊ちゃんがポイント。

このマンガがすごいのは、「想像通り」でありながらも一つ一つの「破壊力」で想像を超えてきてくれる事なのです!

例えば、冒頭に書いたセリフのように、坊ちゃんこと「有栖川璃久(ありすがわ・りく)」は、お姉さんこと「蒔田真白(まきた・ましろ)」を「ババァ」と呼びます。この時真白19 歳。ババァでもなんでもないんですけども。坊ちゃんは偉そうですね。でもそこがカワイイ。
で、10 年後の坊ちゃんはどうなったかと言うと、未だに「ババァ」呼び。
普通、この 10 年の間に何かしらが起きて二人の距離が縮まって名前で呼べるようになるんですけれども!
いや、そもそもこの 10 年間、距離は特に縮まってないんだから仕方ないのか!

さらに坊ちゃんはお母さんから
「好きな人の名前も呼べないなんて!そんな子には真白ちゃんみたいないい子と結婚させられません!」
と言われてしまいます。お母さん正論すぎる。
(ちなみに、このお母さんのお金持ちらしからぬ普通の感覚もこのマンガの好きなポイントです)
すると坊ちゃんは、一人で「真白」と噛まずに発声する特訓を行うのです。
4 時間超えの特訓を 3 日間。

そんなに!?
どんだけ照れ屋なの!?

 

▲えらい!頑張れ!あと「あいつ」って呼ぶのやめましょうね

▲まだ名前は言えそうにないですかね…?
 
特訓の結果、言えるようにはなるのですが日常的に呼べるようになるにはまだもう少し時間がかかるみたいで。
この、名前が言えずに顔を真っ赤にする姿、それでも好きな人と一緒にいたいから一途に頑張る姿勢、めちゃくちゃ愛おしく思えてくるのです。

つまり、「破壊力」とは、エピソード一つ一つに対するキャラクター達の可愛らしさの「破壊力」の事で、それがもうとんでもないのです!
好きな人の名前が呼べるようになるまで 2 巻費やしてるんですよ!?彼は【本物】です。

▲10年後。こんなに顔真っ赤になる?

▲どんなオチ(?)が待ってるのかと思ったところにこのストレートな言葉。最高ですね
 
作者である大原ロロンさんのマンガは、この破壊力抜群の「可愛らしさ」と、悪い人が出てこない「究極のやさしい世界」に溢れています。
日常生活でいろいろ溜まったものがある人は、是非このマンガを読んでみてください。
かなりのデトックス効果があるはずです!

松崎克俊Profile
1983年9月2日生まれ/福岡県出身/現在はピン芸人として活動中/太田プロダクション所属
アニメ・ゲーム・漫画が大好き。二次元女性キャラクターしか愛せないという名言もあり。
 
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