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【コラム】強烈なフェチ力(ぢから)⁉『私の傷は死んでも消さない』


【第132回】松崎克俊 コラム『私の傷は死んでも消さない

このマンガを読んでると、不思議な感覚になるのです。

『私の傷は死んでも消さない 』 は、タイトルにもある【傷】がキーとなるマンガです。
主人公の「軒下山猫 (のきした・やまねこ)」は、小さい頃に自分のせいで傷を負わせてしまった幼馴染のお姉さん「家入野鼠(いえいり・のねずみ)」を一生かけて守ると決めている高校 2 年生。 彼にはもう一人幼馴染の同級生「楢井豆柴(ならい・まめしば)」がいるのですが、実は彼女も同じように彼に傷を負わされていたのだと分かり…
 
『私の傷は死んでも消さない

と、こう書くと
「なんだか重そうな話だなぁ」
「皆すごい名前だなぁ」

と思うでしょう。
実際、読んでみると、良心の呵責に苦しんでいる姿や、それを元にした三角関係が描かれており、お話は確かに軽くはありません。
ただ、じゃあ重い話なのかと言われると、意外とそうではないんです。

それよりも、
圧倒的なフェチ心
つかみどころのないものを観ている感覚

が印象に残るのです。あとキャラクターの名前。

 

この傷の見せ方よ!胸に傷ある子の胸が小さいというのも何かしらの思惑を感じますね

▲酔いどれお姉さんすき(この時点ではまだ酔ってません)

まずフェチの件。
【傷】に関するあれこれがねぇ、なんか!すごいの!

彼女たちが主人公の山猫に傷を見せる時の、「貴方にしか見せないんだよ」という気持ちが伝わるような、満を持した表情や仕草!
そう、【傷】自体がフェチなんじゃなくて、【傷】に対しての気持ちや行動に強烈なフェチ力(フェチぢから)を感じるのです!
普通はコンプレックスになるであろうものに対して、ネガティブな感情が少なくて、そういう点では「結構あっけらかんとした雰囲気のマンガなのかな?」と思わせつつ、そこから更に掘っていくとキャラクターの面倒くさい部分が出てくるという。

 

▲宣戦布告的なシーンの後も…

▲こうだもの。何か締まらない、つかみどころのない魅力が出てると思うシーン。
 
あと【傷】とは全然関係ないところで、豆柴のキャラクターね。
テンプレな「かわいらしい幼馴染」ってだけじゃなく、意外と積極的だったり、意外とバスケ部だったり、こういうポジションにいるキャラクターであまり見ないタイプの子で、こういうところも「フェチ力(フェチぢから)」を感じますね。
大人の女性のキャラが好きな自分も、豆柴にはちょっと「おおっ」って思いますもん。

 

▲豆柴の水着を買いに行くシーン。店員さんの「傷に気付いたけど顔には出さない」感もいいです!

▲こういう部分を描く発想がないもの。すごい。
 
で、つかみどころのない件。

先ほど豆柴の話にも出ましたが、なんだかテンプレじゃないんですよ。
そりゃ、どのマンガもオリジナルな部分と「この後このキャラ・展開はこうなるのかな~」的な過去読んだマンガから予想のつく部分はあるのですが、このマンガは自分個人が「こうなる」って思った方向からするっと抜けて、別の方に向かっていく印象なのです。
それは話の展開もそうだし、キャラクター達の性格もそうで、裏切られた!って感じでもなく、こう来るか~!って感じでもなく、つかみどころのない感じ。
自分はそこに、リアリティを感じるんです。

状況を見ればハーレムものだし、フィクションの世界でしか起こりそうにない事で、でも 起こる確率はゼロじゃなくて、本当にキャラクター達がその世界で生きているのを感じる。よく、漫画家の先生方が「キャラクターが勝手に動き出す」って言いますが、まさにこの マンガはキャラクター達が自分で考えて動いてるように感じられるのです。

まとめると、『私の傷は死んでも消さない』は
つかみどころのなさにどこかリアリティを感じる、フェチ心をくすぐるマンガです。
あと、主人公と仲の良いギャルも出てきます。最高!!『私の傷は死んでも消さない』

松崎克俊Profile
1983年9月2日生まれ/福岡県出身/現在はピン芸人として活動中/太田プロダクション所属
アニメ・ゲーム・漫画が大好き。二次元女性キャラクターしか愛せないという名言もあり。
 
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