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【コラム】剣と魔法の世界において「拳」がどれほど有効なのか。『空手バカ異世界』




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第48回】 空手バカ異世界


 交通事故などで異世界に転生した主人公は、その際に圧倒的な能力を授かり、その力を駆使して異世界の冒険に挑んでいく――。いわゆる「異世界転生もの」についての世間的なイメージというのは、そういうものだろう。

 そこに対してこの『空手バカ異世界』である。異世界に転生した空手家は、女神からのチートスキルも拒否して、己の空手の道を信じてこの異世界で未知を切り開いてくことになる。

 

▲ダンプカーを己の拳一つで止められるのか⁉

▲あらゆるチートスキルも要らん!

 だから本作のポイントは、剣と魔法の世界において「拳」がどれほど有効なのか。それをいかにリアリティをもって描き出せるかにかかっている。原作小説ならばロジックでもっていく部分をいかに漫画として説得力をもって描くか。

 その点で一番盛り上がったのは、第1巻のドラゴンが放った炎を「廻し受け」で受けるシーンだった。筆者は子供につきあって数年、芦原会館で空手を齧ったが(かじった以上のものではない)、「廻し受け」は作中でも語られる通り基本中の基本である。

 そして本作はそれをこう記す。「空手の受け技の基本にして奥義。完成させれば炎のような不定形のようなものでさえ受け流すことが可能――」この説明が、迫力ある大ゴマとともに描かれた時、読者は(笑いながら)圧倒的説得力を感じたはずだ。「笑いながら」というのはつまり、この作品世界のルールに力技で説得されたということにほかならない。

 

▲狙うは急所!

ドラゴンが放った炎を「廻し受け」で受ける!

 そして第2巻で、「白衣の次元遊者(ブレーンウォーカー)」と呼ばれる主人公は、かつては救国の英雄であったジャヴィドとの戦いを経て、旅に出ることになる。それはストーリー的には、この世界で空手がどこまで通用するかという見せ場が始まるということだが、同時にそれは空手バカである主人公の生き様そのものが通用するか、ということでもある。さまざまな困難が襲う中、 空手を自らの倫理とする「白衣の次元遊者(ブレーンウォーカー)」は己の生き様を貫徹することができるのか。

 痛快な空手vsファンタジーのアクションの先にはそんなアイデンティティをめぐる戦いが潜んでいるのである。

 <Profile>
藤津亮太
アニメ評論家。主な著書は『アニメ評論家宣言』(扶桑社)、『声優語』(一迅社)など。アニメなどのコラムを多数執筆。
















































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