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【コラム】元ヤクザと女子高生の温泉めぐり『草野と希♨』




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第52回】草野と希♨


古今東西様々なパターンで描かれてきた2人組主人公。本作はタイトルの通り、草野と希という2人組が主人公だが、この2人が実に魅力的に描かれている。

物語の発端は、広瀬という女性の失踪。しかも彼女は、どうも複数の取引先から集金した金をそのまま持ち逃げしたらしい。かくして同僚の草野は、広瀬の足取りを追うことになる。そしてこの草野が出会うのが、広瀬の妹で高校生の希。姉と連絡がつかなくなったことを心配した希は、姉の部屋を訪れたところで草野と出会うのである。


 
 
 
 
 

草野は巨漢のおじさん(35歳)。希は子供っぽいルックスの女子高生。これだけでも大きなギャップがあって視覚的に楽しいのだが、本作はそこにさらに細かく味付けをしていく。

まず2人のキャラクターの中にもそれぞれ2面性があり、これがそれぞれのキャラクターに奥行きを与えている。

草野は旅行雑誌を作る仕事をしており、普段は非常に温厚そうなタイプ。だが彼は、元ヤクザ。しかも「伝説の狂人」とまで呼ばれた武闘派だったのである。今の彼は真人間になろうと仕事をしているのである。

希は、小柄でおかっぱと子供っぽいルックスながら、ことあらば特殊警棒を振り回して相手に立ち向かっていくぐらいアクティブだ。草野と初対面のときも、草野を怪しいと思った希は、体格差をものともせずに特殊警棒でいきなり殴りかかっている。


 


そんな2面性を持った2人を繋ぐ“線”は3つある。

ひとつは「広瀬の行方」。これは2人の共通の目的であり、本作のストーリーを前に進めていく最重要な要素だ。

そしてこの共通の目的に付随する2つめの“線”は、「温泉巡りの記事制作」だ。広瀬が失踪したことで穴があいてしまいそうな記事を、協力して制作することになる2人。この2つ目の“線”があることで、立場の違いを超えて2人は、一種のビジネスパートナーとしても行動することになる。


 


そして3つ目の“線”は「ヤクザ」。希の一家はかつて温泉旅館を経営していたが借金の果てに父親は失踪。その過程で希はヤクザをなにより嫌っている。そして草野は元ヤクザ。真人間になろうとして義指をつけても、一度ツメた小指が戻ってくるわけではない。第1巻では、この「ヤクザ」に対するそれぞれの距離感が、草野と希の間のドラマのポイントになってくる。

 
 


巨漢と女子高生という凸凹コンビの魅力は、この2面性と3つの“線”が巧みに組み合わされているところから生まれているのだ。

しかもそこに加え本作には、温泉の魅力と温泉地グルメの魅力まで加わっている。とても満足感高い作品なのである。
 
 <Profile>
藤津亮太
アニメ評論家。主な著書は『アニメ評論家宣言』(扶桑社)、『声優語』(一迅社)など。アニメなどのコラムを多数執筆。




















































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