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【コラム】カタルシスを得られる『地獄くらやみ花もなき』




新作・旧作、注目作に話題作。いろいろ気になるあの作品を、ちょっとだけ試し読み。そんな調子でマンガの世界を放浪していきます。
【第54回】地獄くらやみ花もなき


ネットカフェ生活者の遠野青児は、罪を犯した人間が化け物に見えてしまう“目”を持っていた。有り金が尽きようとしている青児が、導かれるようにたどり着いたのは古ぼけた洋館。館の主は、謎の美少年・西條皓だった。

青児の「化け物に見えてしまう能力」を活かして、ここでバイトをしないかと誘う皓。彼はここで「お悩み相談所」のようなことをしているという。そこに依頼人の女性が現れたが、青児に彼女の姿は妖怪「青坊主」に見えるのだった。果たして彼女の罪とは――。


 
 
 
 
 
 
 

こうやって始まる『地獄くらやみ花もなき』は、路生よるの同名小説のコミカライズ。依頼人のトラブルを解決する一種の探偵ものかと思わせて、すぐにその先入観をひっくり返す。皓が営んでいるのは、罪人の罪を暴き、地獄へ堕とすという<地獄代行業>だったのだ。

 
 
 

 


ならば、妖怪や化け物が入り乱れる伝奇方面に進むかと思いきや、本作の本筋は<ミステリー>なのである。つまり青児は、ワトソン。皓はホームズ。そういえば青児が洋館についた時、皓はその身なりと持ち物から、青児がネットカフェぐらしのホームレス予備軍と見抜いていた。

 
 


そして1巻後半から始まる第二怪「鵺」編。依頼人である獅堂凛子の「鵺を退治してほしい」という依頼を受けて、地方の実力者である獅堂家へと2人は赴く。獅堂家では2年前、まだ若き兄嫁・清白が自殺をしていた。鵺の正体は何者なのか?清白の自殺の真相は?そして新たな殺人が……。

 

 
 

妖怪要素にミステリー、それに地獄落としと、情報量多くて難しそうに見えるかもしれない。特に「鵺」編は、皓のライバルキャラまで出てきて推理合戦の要素もあるから、てんこ盛りである。ところがそれぞれの要素が、実にうまく連携して収まるところへと収まっていく。だからとてもカタルシスがある。漫画を担当した藤堂流風が「鵺」編のストーリーを「胸糞悪いのに後味が悪くない」と評しているが、まさにそのとおりの内容だ。

2巻まで読んだところ、本作は、こんな構造の作品だと捉えるとわかりやすいのではないかと思った。

描かれる事件は、超常の事件のように見えても、基本的には人間が起こすもの。皓は、この一見不可解な事件を、合理的に解き明かしてしまう。そしてその結果、そこに事件の動機=人間の隠された欲望が浮かび上がる。この欲望こそが、青児の目にうつる化け物なのである。つまり青児の目に見えているのは、事件の真相(の一端)なのである。だから読者が真相を知った時、大きなカタルシスが訪れるのだ。
 



















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