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【コラム】人の心に寄り添ったあたたかい物語『宝石商のメイド』

 
【第185回】松崎克俊 コラム『宝石商のメイド

今回紹介するのは『宝石商のメイド』。

宝石商のメイド「さん」、じゃないんです。

宝石商のメイド、なんです。

この違い、分かりますかね?

「メイドさん」だと、かわいらしいメイドさんのほんわかした日常、的なイメージがする一方、

「メイド」だと、なんかこう、厳かな…美しい、素晴らしいものを見せていただいている…そんな感じがします。

それが更に、「宝石商」なんですよ。なんかもう、自分が想像できないところで起こっている世界を見せてくれているワクワクが、タイトルから伝わってくるのです。

そう、タイトルって大事だね!って話です。
 
 
『宝石商のメイド
▼試し読みする
 

大通りから外れたところに店を構える宝石商【ローシュタイン】。

主人が宝石の仕入れで世界を回っているため、主に店頭に立つのはメイドの「エリヤ」。

知る人ぞ知るその店には、貴族や有名女優、貧乏学生など様々な人がやって来ます。

今日はどんなお客様がやって来るのでしょうか?


 

メイドのエリヤ。瞳が宝石のように美しい
 

まず目に留まるのは、その絵の美しさでしょう。

繊細な絵柄で、あまり感情を表に出さないメイドの雰囲気にも合ってますし、それなのにふっと笑ったメイドのうつくかわいらしいこと!(うつくかわいらしい…松崎が今作った造語。美しいと可愛らしいの両方をあわせ持つ様。)

だからと言って表情豊かなキャラクターがいないわけではなく、その明るい感じも表現できていて、なのに「繊細」。 心なしか、単行本のカバーを含めた紙質も良い気がします。

本当に「気がする」だけなんでしょうけど、そう思わせてくれる雰囲気の良さを感じます。


 

時折、微笑む瞬間があるので1コマも見逃せません
 

そういうお店なのです
 

そして、テーマとなっている「宝石」。

正直、日常生活で全く触れた事のないジャンルなので、どういう方向で話が進むのか分からなかった部分があります。

それが、毎回いろんな人たちが出てくる連作短編という事で、なるほどと。


 

貴族のお嬢様にこう言われたところ…
 

ああ、なんとなく分かるわ…
 

こういうパターンって、起点となるお店がどこでもいいっちゃいいんですよ。雑貨屋さんでもいいし、定食屋さんでもいいし、病院でもいいし。

ただこれが宝石店となると、来るお客さんのジャンルが限られます。そして逆に言うと、宝石店だからこそ成立するお客さんもいるわけです。

先に述べた貴族・有名女優などがそうです。


 

戻ってきた店主と
 

こういうやり取りを今までもやってきたんだろうなぁというのが伝わってくる、好きなシーン
 

一世一代の宝石を買う、という人生において大切な場面だからこそ、このマンガで描かれる意味があるのだなと。

だからといってとっつきにくいわけでもなく、人の心に寄り添ったあたたかいお話がいくつも読めて、幸せな気持ちになってしまいました。

基本的にはメイドとお客さんのやり取りで話が進むのですが、1巻の後半には店主がお店に戻ってきて、今後の展開の広がりも期待できそうです。

是非この素敵な世界に踏み込んでみてはいかがでしょう?
 
 
松崎克俊Profile
1983年9月2日生まれ/福岡県出身/現在はピン芸人として活動中/太田プロダクション所属
アニメ・ゲーム・漫画が大好き。二次元女性キャラクターしか愛せないという名言もあり。
 
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