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下描きも背景も描きません!Biscuitの未来的作画法を、作者みずからが詳しく解説!


 
【STEP1】コンテ


 
まずは作品の設計図たるネーム=コンテを制作する。この段階では紙でだろうがタブレットでだろうが、手書きでアナログ的に構想を練る。これを3D化してゆく。
 
【STEP2】モデリング




3DCGソフトでキャラをモデリングしてゆく。ここは時間がかかるが一度作ればあとはポーズを変えるだけ。コンテに合わせてポーズを変え、背景に配置してゆく。
 
【STEP3】レンダリング


 
背景にキャラを配置してカメラアングルが決まったら、光源の差し込む方向を決めてレンダリング。モデリング時に指定した色が塗られ、自動的に影もつく。
 
【STEP4】ペン入れ


 
3Dソフトから2Dペイントソフトに移り、キャラや背景などにペン入れをする。輪郭をなぞる事で「まんが」っぽい絵になる。効果線なども追加で描き加える。
3Dモデルでのまんが制作の経緯
TEXT:山路亮輔



事の発端は2014年、当時「灰狼と火蛍」という自主制作アニメを制作していた筆者は背景の制作について、頭を悩ませていました。

アシスタント抜きで、一人でアニメを制作するには、背景に掛かる手間隙は非常に重いものだったからです。
そこで、Photoshopに搭載されていた 3D押し出し機能を使って、擬似的に3D背景を作れないか試したところ、思いのほかうまくいったので、以降のエピソードで使用することに。

同時期、セルアニメ調の3Dで作られた作品をいくつか拝見し、手書きでの作品制作に本格的な危機感を覚え始めました。
これが、今後の作品制作に3Dの導入を決定した動機になります。

「灰狼と火蛍」完結後、3Dでの作品制作を開始しようとしていたところ、大学の恩師である大塚先生からカラーまんがの仕事を間に挟まないかと提案され、アニメ制作の前に3Dを使ったまんがの制作を始めました。
具体的には、あらかじめ用意したキャラモデルを画像データ化し、コマの上に配置して最終的にペンで輪郭を描くという工程になります。



この制作法のメリットは、

1.色を塗らなくて済む
2.影を描かなくて済む
3.背景を描かなくて済む
4.下書きを描かなくて済む

つまり、ペンによる作業工程を清書と仕上げのみに限定できるメリットがあります。
3Dの勉強自体は、参考書片手に3ヶ月ほど行いましたが、現在の制作手順は、ほぼこの3ヶ月で作ることが出来ました。

今後、考察を重ねモデリングの最適化を行えた暁には、週1、20ページのカラーまんがの制作も視野に入ってきます。(アシスタントは1人 2人必要でしょうが)



一方でのデメリット

1.3Dのモデル設計に時間をとられる
2.まんがの構図とモデルの乖離
3.要求されるPCのスペックおよび周辺ソフトの数
4.それに伴う、設備投資の額

特に、まんがの構図とモデルの乖離は非常に大きな問題であり、現在までの3Dを2Dの構図に落とし込むというテーマのなかで、無視できない課題になっています。

本来、まんが・アニメ・イラスト問わず、その構図には必ず「嘘」があり、一方でそれが「自然」として視聴する側に受け入れられています。

一方で、3Dモデルには、構図上の「嘘」が存在せず、それが視聴する側には「不自然」に映ることがあります。
現実の造詣を模したモデルならともかく、はじめからフィクションで構成されたトゥーンキャラには3Dとのマッチングは、かなりの困難です。

この問題を解決するには、カメラからのパースに頼らない構図をモデルに要求する必要があり、レイヤーごとのパーツの分割や、直接モデルに変形を加えるスキルが必要になってきます。

それ以外にも、レンダリングやシェーディングをはじめとした、多くの課題が現在も山済みになっていますが、例をひとつ挙げるなら、3Dモデルによるデッサンアシストでしょうか。

現実にも、構図の難しいポージングなどを3Dモデルで行い、その上から作画を加える技法が存在します。
極端な話で、3Dで作られたモデルをそのままコマの上で線画として配置し、ペンをほぼ使用しないという作り方も出来ます。

しかし一方で、自身の考える構図とモデルの乖離が、これらの技法には比較的顕著であり、特に3Dモデルをそのまま作画に使用すると、作画上ほぼ嘘が付けなくなり、それが違和感となって、画面に出てしまうことが多いです。

要約すると、まんがなどで3Dモデルを使い続ける限り、常に3Dモデルからの脱却を考えなくてはならないというジレンマを、筆者に要求します。
 
【PCスペック】
・windows 7 professional
intel(R)Core i7-3930K CPU @3.20GHz
RAM 64GB
VC Nvidia Quadro4000
【使用ツール】
SAI
Adobe Photoshop CS6
MAXON Cinema4D

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