「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君」がアニメになるまで 東ふゆ先生1万字インタビュー!後編

全国の漫画ファンの皆々さま、おはようございます。
カドコミュのTです。
前回は秋アニメ放送中の『顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君』インタビュー前編として、東ふゆ先生のマンガ描き歴や同作の成り立ちなどについて、お話を聞かせていただきました。今回は後編として、いよいよアニメ化決定からその制作への関わり、また各種見どころ、そしてご自身の「初恋アニメ」についても伺っていきたいと思います。
ちなみに先週同様まだ本作品を全く知らない方々に…「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君」とは…

どんなにちょっかいを出されても、まったく顔に出ない女子中学生・柏田さん。
そんな柏田さんのことが気になって、ついついちょっかいを出してしまう太田くんは、逆にめちゃくちゃ顔に出る――!?
正反対な2人が競い合う(?)ほのぼのラブコメ♪
(カドコミより)

という、無表情中学生女子・柏田さんと表情が分かりやすぎるオラつき系中学生男子・太田くんのラブコメディ。
無表情ながら太田くんに好意を隠さない柏田さんと、そのアタックにほぼ小学生男子的な反発をしてしまう太田くん。それを取り囲む同級生やら家族たちの…おかしくも優しい世界を描いた思春期ニヤニヤ感強めの作品です。
無表情ゆえ注釈付きで描かれる柏田さんを中心に、周囲のウブい中学生たちがひたすら可愛いので、漫画もアニメも是非見てくださいね。
では、インタビュー始めさせていただきます!
■サプライズのアニメ化決定報告を信じれず半ギレ
カドコミュT:では、今回の「柏田さん―」アニメ化について話を進めていきたいと思うのですが、東先生が初めてアニメ化決定を知った日について聞いてもいいですか?
東先生:「柏田さん―」本編が完結するタイミングで、お疲れ様会的な感じで担当編集のドラドラしゃーぷ#・Mさんにお寿司屋さんに連れて行ってもらったんです。で、その最初に「アニメ化おめでとうございます!」って乾杯されて……
カドコミュT:おぉ!
東先生:……この人は自分をからかってるのかな?と思って「…何でそんなこと言うんですか?(怒)」ってなりました。
カドコミュT:ちょっとしくじってるじゃないですか、M氏。
担当編集M:(苦笑)その後、それまでの経緯などをひたすら説明することになり、アニメ化が本当だと信じてもらえるまで結構かかりましたね。
東先生:信じられるまでに10分はかかったような気がします(笑)。
カドコミュT:では多分…そんなピリついた10分間を経て、東先生は「どうも本当らしいぞ……いいぞ……嬉しいぞ!」ってなるじゃないですか?
東先生:はい、嬉しかったです。
カドコミュT:でも同時に、M氏から「じゃあ、アニメもあるし、番外編(「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君+」)も始めましょうか」という話も差し込まれることになったんですよね?「完結お疲れ様会」だったのに、「終わら……ない!」ということになる。それがアニメ化の喜びとセットになるのって、正直どんな気持ちだったんですか?
東先生:そうなんですよね(笑)。もう「柏田さん―」は描き切ったし、終わったって思ってたんです。最終回も割と綺麗に終えられたと思っていたので…「え、これからどうしよう…」っていう気持ちと、やっぱり「アニメ化嬉しい!」っていう気持ちの2つがあって、ちょっと複雑でしたね。でも番外編に関してはMさんが色々考えてくださっていたので「それをその通り描こう」って。何より「アニメ化のためなら頑張れる!」って思いました。
カドコミュT:ちなみに、その日のお寿司の味ってどんな感じだったんですか?
東先生:あんまり覚えてないんです。美味しかったんですけども…でも、それどころじゃなかったというか(笑)。
カドコミュT:「柏田さん―」は商業初連載からアニメ化という超特急ヒットコースじゃないですか?M氏はそこら辺をくすぐらなかったんですか?
担当編集M:いや、この時は。でも、常日頃から言ってますよ。初連載で、10巻まで続けられて、それでアニメ化まで行けるという…もう上積みの上積み展開なので「すごいことなんですよ」ってことは常々言っていると思います。
東先生:そうですね。ちょっと落ち込んでると「ここまで行ける人そんないないよ」みたいな励ましをくださったり。結構、自分は落ち込みがちなので、その度に励ましてくださいます。
カドコミュT:なるほど。クールに上げていくんですね。
担当編集M:過度にヨイショはしなていないつもりです。
カドコミュT:「アニメ化のために番外編という仕事増えました」はいいとして…東先生は同時期にカドコミオリジナルというレーベルで「メメントゲーム」という新作を始めたかと思います。忙しい時期に始めることになった「メメントゲーム」はどこから入ってきたんですか?
東先生:それは…「柏田さん―」が完結する前にMさんと「次の連載はどこでやろう?」みたいな話をしていて、「今度KADOKAWAで新しいマンガアプリが出るから、そこでやらない?」って言われて始めた感じですね。
カドコミュT:忙しそう…。
担当編集M:「柏田さん―」本編が終わってからは、最終回の校了が結構前だったこともあって、番外編の準備だったり、「メメントゲーム」の準備を含めてそれなりにお休みできたんじゃないかと。
東先生:ああ、そうかも。番外編となった「柏田さん+」の最初の頃は本当にスローペースの更新で、「メメントゲーム」もまだ構想段階でしてたので、その頃は1番休めていたかと思います。「柏田さん―」本編が2023年6月に終わって、10月に番外編が始まった感じで…でも、秋田編(「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君+」2巻収録。秋田のご当地ネタがメイン)の取材とかもあったりして、結構忙しかったかも(笑)。ただ、秋田編の取材は、お祭りとか地元なのに初めて行くところもあり、「今までなんで行かなかったんだろう」と思えたことも多くて、やって良かったなと思っていますよ。
■アニメ化決定イラストの執筆は最高に楽しい
カドコミュT:「柏田さん―」のアニメ化が決定して、でもしばらくは知人にもそれが言えない状況が続くと思います。辛かったですか?
東先生:そうですね、2年弱くらい、一番喜んでくれそうな親にも言えなかったので。
カドコミュT:そんな時期を過ぎて、情報オープンになるタイミングで「アニメ化決定」のイラストを描くじゃないですか?アレって描いてる時のテンションは、作者本人としてはどんな感じなんですか?
東先生:もう最高に楽しかったですよ!ようやく言えるっていう思いも乗って、「今までの集大成だ!」ってくらい、力を入れて描きました。
カドコミュT:めちゃくちゃ熱いですねー。それ以前から、東先生にはアニメ化に関わる確認仕事などもドバドバ入ってきていたと思うんですが…。
東先生:はい。でも、それは全部楽しかったんです。こちらで描くことはなくて、ただ監修するだけなので。それでアニメが出来上がっていくのを見させてもらえるのは本当に楽しかったです。
カドコミュT:アニメ制作にあたって監督さんとかプロデューサーさんから言われた心強い、熱い一言とかってあったりします?
東先生:熱い一言…は思い出せないんですが、「リクエストがあったら何でも言ってください」って、みなさん原作をめちゃくちゃ細かいところまで尊重してくれてるスタッフさんで、暖かい方々ばかりでしたね。
担当編集M:それは僕も本当に感謝してます。そんなスタッフの皆さんのおかげで、こちら側はめちゃくちゃやりやすかったです。
カドコミュT:クラスの座席表とか校舎の構造図とかを作ってくれたり?
東先生:はい。そんなこと、漫画を描いている時の自分は全然考えていなかったんですけどね。すごく細かく考えてくださっていて、席替え後の座席表とか、3年生になってからの座席表とか、タイミングごとにきっちり設定してもらったり。校舎の全体図も、漫画よりもかなりちゃんと考えてくださってましたね。柏田さんと太田の家の間取りとかも、建築の文脈に沿って考えられたものをいただいたりして、「私、何も考えてなかったのに…ここまで考えてくださってる…」って感動しました。自分としては「これからはその資料を見て原作(番外編)を描こう」ってなりましたね(笑)。
カドコミュT:それらの資料を送られてきて、「問題ない」って返したらそれがアニメになっていった感じですか?
東先生:いや…当時、私は全部考える暇がなかったので、その確認に関しては大部分を「柏田さん―」を誰より知ってくださってるMさんがフル対応してくれました。本当にありがとうございます。
担当編集M:いえいえ。漫画で、こいつとこいつが教室の中でこの位置とこの位置だったから…とか、多分ここら辺の男女のバランスはこうだったから…とか。その都度、原作を読み返さないと分からない確認だったので……そういったところは私がやったほうが良いのではないかと思いまして。
■柏田さんのクラスメートにインド人がいたなんて
カドコミュT:いいチームですね!ほかにアニメ制作陣の仕事に驚いたことなどありますか?
東先生:いや、いっぱいありますよ。まずは、クラスメイトのモブキャラですね。1クラス分、全員をきっちりキャラデザしてくださってるのが凄かったです。その中では、結構個性的な子たちが生み出されていて…おでこに赤い印が着いたインド出身の女の子とか、何か印象的にうねってるポニーテールの女の子とか…そんなオリジナルのモブキャラたちが結構強烈でしたね。その二人はアニメでも目立ってると思うので是非探して欲しいです。
カドコミュT:漫画でモブ同級生といえば、眼鏡&出っ歯の「よく居る人」(単行本3巻のキャラ解説参照)くらいのイメージしかなかったのですが、アニメ制作陣のキャラクリエイティブ力が爆発していたと。
東先生:監督さんからは「佐田君(太田君の友達のクール&察し上手イケメン。とてもモテる)よりもイケメンっぽいモブがいたから『それはやめて』ってボツにした」って話も聞きました(笑)。自分としては全員気になっているので、クラス全員分の外伝的エピソードを描いて欲しいな、と思っています。
カドコミュT:アニメスタッフさんの仕事って凄いですね。
東先生:モブキャラ以外もいろいろな部分で細かく考えてくださってるので、大変そうだなと思いました。時間もすごくかかりそう…って。例えばアニメの第1話、漫画だと第2話になるんですけど、プール掃除のエピソードで出て来る水鉄砲の描写も、それ単体だけの監修とかもいただいて、すごく細かかったんですよね。
カドコミュT:小物の描写資料も全部回ってくるんですか?
東先生:いっぱい回ってきてました。田淵さんが柏田さんに贈る誕生日プレゼントとか、柏田さんを驚かそうとして太田が持ってきた虫とか…、また後で「虫チョコ」(思いっきり虫の形をしているチョコレート)とかが出てくるんですけど、その入れ物みたいなのも、何を下に敷くとか、容器の高さは…とかも考えてくださってて、かなり細かかったです。何も考えずに描いてたのに…って。
カドコミュT:それだけ詰めて考えてくれると、楽しいし、嬉しいですよね。
東先生:はい、一瞬で終わっちゃうようなシーンでもかなり丁寧に考えてくださっていて、嬉しかったです。あと、「柏田さん―」の舞台は自分の地元である秋田なので、雪がどれくらい降るのか?とか、積もり具合はどうなのか?とかいったところも全部監修させてもらって「これは積もりすぎかも」とか言わせてもらえるという、本当に細かくやっていただきました。
カドコミュT:多分、東先生はアフレコ現場にも行っていると思うんですが、どうでしょう?テンションは上がりましたか?
東先生:それはもう。柏田さん役の藤田 茜さん、太田役の夏目響平さんはじめ皆さん本当に素晴らしくて。みんなで肝試しをするエピソードがあるんですが、その大騒ぎぶりとか楽しかったですねー。あと、田淵さんの登場回とか、花守ゆみりさんの演技がとにかく凄かったです。
カドコミュT:いろいろ聞いてしまった後で、こんな質問をするのもアレなのですが…アニメで注目して欲しいポイントで、まだ語れていないところがありましたら聞かせてもらえますか?
東先生:BGMとかオープニング、エンディング、また各シーンの色彩とかも全部優しい感じで、「原作をちゃんと読んでくださっていて、『柏田さんー』の世界観が出てるな」って自分自身思っているので、そんなところを注目して欲しいですね。また、一つ一つのギャグとかも大事にしてもらって、アフレコでも監修させていただいて、「ここはこんなイントネーションで…」みたいなリクエストも全部聞いていただいたので、原作ファンの方々にも安心して見ていただけるアニメになっていると思います。
カドコミュT:ちなみにこの記事が出るころには、ドラドラしゃーぷ#で連載の番外編第3部(「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君+」の3巻分。本編の後日談となる高校生編)も堂々と完結していると思うのですが、その走り切った万感の思いを伺っても良いですか?
東先生:柏田さんたちとは、8年くらいの長い付き合いになったので、よくここまで描けたなと思っています。ずっと一緒のキャラクターたちだったので寂しさもありますし、そんな最後に動く柏田さんをアニメで見せていただいて嬉しいですし、本当に描いてきて良かったなと思っています。
■「CCさくら」「クレしん」「グルグル」「ボーボボ」… 「初恋アニメ」はどれ?
カドコミュT:ありがとうございます!では最後に、今回はアニメ化きっかけのインタビューということで…おまけとして東先生が人生でに1番最初にハマった「初恋アニメ」を教えてもらっていいでしょうか?インタビュー序盤で「カードキャプターさくら」の話があったんですが、それだったりしますか?
東先生:そうですね…一番最初に漫画を買ってもらった「カードキャプターさくら」はそもそもアニメで知った作品で、やっぱり影響は受けています。あと、ギャグ的な面では…「クレヨンしんちゃん」ですかね。「カードキャプターさくら」よりも、さらに小さい頃に見ていて、親に「それを見ている時だけは泣き止んだ」って言われてたんですよ。「しんちゃん」は劇場版とかも含めてすごく好きです。あとは子供の頃だと…「魔法陣グルグル」も大好きでした。当時「魔法陣グルグル」のナレーションをやっていらした横尾まりさんが、今回アニメ「柏田さん―」のナレーションをしてくださってるんですけど、それにもすごく感動しましたね。
担当編集M:「ボボボーボ・ボーボボ」は?
東先生:あ、そうだ。「ボーボボ」は、もうちょっと大きくなってからの作品でしたけど、大好きです。あそこまでのギャグは自分には描けないんですけどね。やっぱり影響はされてる感じはします。何か………私、ギャグ漫画ばっかりあげてますね(笑)。
カドコミュT:この中で「初恋アニメ」というと……やっぱり「カードキャプターさくら」になるんですかね?
東先生:そうですね、真似した漫画も色々描いてましたし。
カドコミュT:となると、「カードキャプターさくら」の好きなキャラクターとかも聞いていいですか?
東先生:いや…それが難しくて。「カードキャプターさくら」は本当に登場キャラクターみんなが凄い無意識に参考にしたのかもしれないですね。出来上がったものは全然違うんですけど(笑)。
カドコミュT:全員キャラ立ちを目指していた、と?
東先生:はい。みんなそれぞれいい味を出していくという。さっき言ったギャグアニメ(の原作漫画)全部にも言えることなんですけど、脇役にも、ツッコミだとか…いろいろな輝きがあって、主人公たちだけじゃなく、主人公たちは脇役がいるからこそ輝く…みたいな所を大事にしていました。「柏田さん―」は柏田さんと太田の二人ばかりに注目されがちなんですけど、周りもすごくいいキャラクターで固められていると思います。アニメでは、そこも声優さんたちが頑張ってくださってますし、注目してほしいポイントですね。
カドコミュT:今回は長々とありがとうございました。アニメ後半戦と「顔に出ない柏田さんと顔に出る太田君+」最終巻(12/9発売)を楽しみにさせていただきます。

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著者:東ふゆ
あらすじ
どんなにちょっかいを出されても、まったく顔に出ない女子中学生・柏田さん。そんな柏田さんのことが気になって、ついついちょっかいを出してしまう太田くんは、逆にめちゃくちゃ顔に出る――!?正反対な2人が競い合う(?)ほのぼのラブコメ♪
著者:東ふゆ
あらすじ
大人気ほのぼのラブコメが満を持して連載再開♪ どんなにちょっかいを出されても、まったく顔に出ない女子中学生・柏田さん。そんな柏田さんに、ついついちょっかいを出してしまう太田君は、逆にめちゃくちゃ顔に出る!? 正反対だけど、2人はきっと両思い…? 番外編となる本作では“中学二年生の夏休み編”や“高校生編”など、本編では描ききれなかったお話を公開予定!! 本編に引き続き、柏田さんと太田君のほんわかラブコメをご堪能ください!





