La-na 1万字インタビュー:原作の魅力を引き出すのはめちゃムズい…!漫画家に聞く『魔術師クノンは見えている』の魅力【後編】

話題漫画の作者に話を聞く「カドコミュ」インタビュー。
前回に引き続き、今冬アニメ絶賛放送中の『魔術師クノンは見えている』のコミカライズ漫画家:La-na先生にお付き合いいただきました。
現在アニメも放送中の本作に関し、先だって漫画化を果たしているが同氏が感じている原作の魅力や、そもそも漫画家になるまでの道程、同作品を漫画化するにはどんなハードルがあったのか…など根掘り葉掘り聞かせていただきました続きなので、是非最後までお付き合いください。
ちなみにまだ本作品を全く知らない方々に…「魔術師クノンは見えている」とは…


天才少年による魔術探求ファンタジー開幕!
生まれつき目の見えない少年クノン・グリオン。
彼の目標は水魔術で新たな目を作ること。
前代未聞な挑戦の中で
圧倒的な魔術の才能が開花する――!
WEBで超人気のハイファンタジー、待望のコミカライズ!

という、盲目の少年が魔術の可能性に気付き、自分の目を作ることを目指しながら、その魔術の可能性を楽しんで…結果広げまくってしまい、周囲にその影響と魅力を感じさせていく…という痛快な魔術研究作品。
盲目で塞ぎこみがちだったクノン少年が、とある家庭教師の一言で前向きになり、そこに侍女の「理想の男子」教育が加わって、ズレたプレイボーイ紳士として世の中を圧倒していく(多分、ガチでモテているわけではないけど、いろいろ凄い)姿。そしてその彼を絶妙に相手する周囲の人々とのやりとりにニヤニヤが止まらなくなる作品です。
では、インタビューを再開させていただきます。
※前編を未読の方々はぜひこちらからどうぞ↓
・La-na 1万字インタビュー:ちょいズレ紳士の少年魔術師が話題!漫画家に聞く『魔術師クノンは見えている』の魅力【前編】
■描くにつれて魅力に気付ける「La-naデザイン」なキャラたち
カドコミュT:では今度は好きなキャラクターについてお聞かせください。でも、La-na先生は巻末おまけ漫画で度々カシスちゃん(クノンを学生グループ「合理の派閥」に勧誘しにくる美少女 ※性別的には男)への愛を叫びまくっているので…カシス一択なんですかね?

La-na先生がカシスへの愛を叫んでいる巻末漫画(4巻)。なお、5巻末では、ページ数こそ1頁だが「カシスきゅんに水着を着せるなら」のテーマで約400文字語り倒している
La-na先生:(笑)カシスは大好きなんですけど。それ以外にも、描いているうちに魅力に気付くキャラとかは結構いたりしてですね…
カドコミュT:そういうの、いっぱい聞かせてほしい!
La-na先生:アゼル君とか…
カドコミュT:…La-na先生、アゼル君を超推してますね。前編と合わせてこのインタビューで3回目の登場ですよ。
La-na先生:好きなんです(笑)。あとは誰だろう…1巻の終盤で出てくる第二王女のレーシャとか。描いているうちに自分が原作を読んで思っていた以上に「魅力的なキャラクターだな」って気付けたりして、いいなって思いましたね。
カドコミュT:王宮魔術師としてクノン君を案内してくれるお姉さん。クノンの魔術にはしゃいだり、はしゃぎ過ぎて王城内の騎士に怒られたり、楽しいキャラクターですね。
La-na先生:あとは、アゼル君じゃない2級クラスの…ナディアちゃんとかも表情とか加えながら描いていくといいな…と思ったり。
カドコミュT:アゼル君だけじゃなく、2級クラス全体も好きなんですか?
La-na先生:そうですね(笑)。奴らは熱い心を持っていそうな感じがするので。
担当編集S:2級クラスもそうなんですけど、La-naさんは原作でビジュアル化されていないキャラクターをたくさん描いています。なのでデザインから自分で起こしたキャラクターへの思い入れは、それなりに強いんじゃないかなって思ったりもしています。
カドコミュT:なるほどー…。3巻の後書き漫画でも魔術学校の入学試験を案内するルーベラさんが好きって語ってましたね。「自分で描いといてアレですが…」の但し書き付きで。
La-na先生:どうですかね…。確かに原作で登場するキャラクターには(キャラクター原案の)Laruha先生が絵に起こしていないキャラクターも多いので、そういったキャラクターは僕的に「なんかこういう雰囲気かな…」みたいな風に思いながら描いてはいますよ。
カドコミュT:自分でデザインして、表情を付けている中で、そのキャラクターの魅力を発見する、か………けっこうありそうですね。原作では名前のなかったキャラクターとかも描くでしょうし……。
La-na先生:名前が出てないキャラクターだと…4巻だったかな? 「実力」「調和」「合理」の3派閥による争奪戦が始まる前に、クノンが水魔術のベットを使った眠りの商売を始めてて、そこに各派閥の女の子3人が集まるシーンがあるんですよ。あそこは原作で名前が無いキャラクターにフォーカスして描いた記憶があります。
担当編集S:後にクノン君がどこの派閥に入るのかって3派閥から同時呼び出しを喰らう回(第4巻、23話)があるんですけど、その関係者っぽい女子たちを集団で描いた扉イラストでその子たちが最前列を飾っていたと思います(笑)

23話扉イラスト(4巻)の最前列二人+2列目左が件の名前無しキャラ。20話の最終頁などでカッコいい雰囲気を出している
カドコミュT:薄らそのキャラクターたちを楽しんでる感じがしますね。
La-na先生:そうかな…そうかもしれませんね(笑)
カドコミュT:ちなみに、La-na先生は小説からの初コミカライズ仕事だった「新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち」の1巻巻末おまけ漫画で「コミカライズしてると小説を読んでる時には気付けなかった魅力を感じられて(以下略)」っていう素敵な言葉を残してまして…
La-na先生:はいはい(笑)
カドコミュT:そんな先生に雑に頼って申し訳ないんですが、今まで僕が聞き出せていなかった“描いて気付いた”「クノン」の魅力がまだありましたら、恵んでいただけたりしますでしょうか?
La-na先生:そうですね…(困)、まあ…でも…やっぱり………キャラクターの魅力が1番大きいのかもしれないですね。僕の仕事として、ストリーラインとかは結構ザッと追えるものだったりはするんです。けど、キャラクターの表情を付ける時は、小説を何回も読み直したり、各シーンやセリフを漫画用に整理するにあたって「ここは外せないだろ」みたいな取捨選択をする時も各キャラクターのことを何回も何回も考えたりとかするんですよね…。そういう意味で、キャラクターは描いていくにつれて、どんどん知ることになるし、好きになっていくというか…その魅力を再発見し続けていくっていう風にはなっていきます。これ、前に話した内容と重複してますかね?
■アニメも漫画も…原作の魅力をフルに引き出すのは相当難しい
カドコミュT:いえいえ、そんなこと無いです。ありがとうございます。では、そろそろ現在放送中のアニメの話に行きたいと思うんですけれども…そもそもLa-na先生ってアニメに関しては完全ノータッチ…だったんですか?
担当編集S:強く介入する立場では無いですけど、キャラデザの調整とかで、確認依頼をもらったラフに赤入れしてもらったりしていましたよ。
La-na先生:まぁ、キャラクターのデザインをちょっと見守るって感じで…
カドコミュT:あ、やっぱり。原作小説でビジュアル化されてなかったキャラクターとかもありますし、頼りにされるところはキッチリされていたんですね。
La-na先生:いやいや本当に確認程度ですよ(笑)
カドコミュT:さて、そんな今回のアニメ化ですが、同原作と対峙しているLa-na先生の仕事的に良い刺激を受けているところなどありましたらに聞いてもいいでしょうか?
La-na先生:うーん…。僕が楽しみにしてたりとかっていう部分で言うと、声や演技が付いたりとか…そういったところですかね。
カドコミュT:アフレコ現場には入ったりしたんですか?
La-na先生:1回だけ見学させていただきました。たくさんのキャラクターが登場するシーンで、大勢の声優さんがいらっしゃったんですけど、そのシーンが僕としてはけっこう昔に描いたシーンだっていうのもあって「こんなキャラクターいたな」って思い出したり、漫画では割と脇役だと思って配置していたキャラクターにもしっかり声の演技が乗ってたりしていたのが印象的だったりして…そんな所でアニメでは「より活きたキャラクターたち」を見れるのかなって、楽しみになりました。
カドコミュT:先に同原作をコミカライズしている立場として、気になっている所はありますか?
La-na先生:アニメではそれぞれの声優さんや、制作の方々の解釈が乗った演技になるとも思っているので……どう言ったらいいんでしょうかね(笑)。僕が原作を読んだ時の解釈を漫画にしてるのが漫画「クノン」なんですが、だからこそ僕以外の人が原作「クノン」をどう読んでるかっていうのは気になっているところではあるんですよ。そういう意味でも、その解釈を含めた演技を見れる、聞けるっていうのが楽しみだなとは思っていますね。
カドコミュT:La-na先生が試行錯誤を繰り返していると話をしていた、南野先生の文体や地の文による平場や作品全体の雰囲気、魅力をどう表現するか…っていう話は、漫画と同じくアニメにも共通の壁になりそうですよね。そこら辺のアプローチは興味ないですか?
La-na先生:あるなしで言ったら、あるんですけど……多分アニメはアニメでリソースが限られてたり、漫画のページ数とは違う「時間」って制約があったりすると思うので…そういった面での漫画とは異なる工夫がとても必要なんだろうなと思います。ただ…やっぱり「クノン」って、原作以外の表現で元の魅力を十全に出そうと思うとすごいコストのかかる作品だとは思うんですよ。多分どんな形でも原作のフルスペックを出し切るのは本当に難しくて、それも含めてアニメはどう「クノン」の魅力を引き出していくのかっていうのが気になるところではありますね。
■【おまけアニメ雑談】:初恋アニメは「Angel Beats!」。5話で最高に笑った。
カドコミュT:ありがとうございました! さて、今回は「クノン」アニメ放送中というタイミングなので、最後に全然関係ないトークテーマに付き合っていただきたいんですが…La-na先生が人生で初めてどハマりした「初恋アニメ」をお聞かせ願えますでしょうか? 少年期、ゲームはさせてもらえないご実家だったそうですが、何かしらのアニメは見させてもらって…ますよね、きっと。
La-na先生:そうですね。
カドコミュT:良かった。では、雑談程度に聞かせていただければと思うのですが…出てきますかね?
La-na先生:元々好きで見てたアニメで言うと「銀魂」を学校から帰ってきてよく見ていた印象が残ってるんですけど……ちゃんとイラストとかを描き始めた以降で衝撃を受けた作品で言うと…僕結構「Angel Beats!」が好きでした。
カドコミュT:「CLANNAD」などで「泣きゲー」ブームの一翼を担った麻枝准さんが、P.A.WORKSと組んだオリジナルアニメ1作目ですね。謎の学園に集められた死後の学生たちが、成仏とか生まれ変わりとかをさせられたくなくて、その学校生活の中でレジスタンス活動する…やつ。
La-na先生:作品のメッセージ性みたいなものが当時の自分に強く刺さったなと。それでいて笑える作品だったので、すごく好きでした。
カドコミュT:多分「『CLANNAD』は…(人生)」とか言わない所を見るに、当時麻枝さん信者だったわけでは…なさそうですよね。
La-na先生:あ、全然違いますね。僕、この作品で初めて麻枝さんを知ったかもしれないです。有名だっていうのは小耳には挟んでましたけど。
カドコミュT:なるほど。では「Angel Beats!」の推しキャラとかを聞いてもいいでしょうか?
La-na先生:ゆりっぺ(レジスタンスのリーダー。メインヒロインの一角)が好きだったかもしれないですね。
カドコミュT:彼女のここが好きだった、このシーンが良かったなどなどありましたらレクチャーいただけますでしょうか?
La-na先生:姉御肌みたいなキャラクターもいいですし、ガッツがある感じも好きなのかな。「Angel Beats!」は全体的に…ロックを感じるっていうか、反骨精神があるような作品なのかなとも思っていて…
カドコミュT:先生ってガッツ&反骨精神が好きっぽいですね? この話を聞いていると、さっきの2級クラスの生徒たちの顔が薄っすら浮かんでくるんですけれども。
La-na先生:(笑)好きですね。
カドコミュT:ビジュアル面でもゆりっぺが好き?
La-na先生:ビジュアルで言えば…天使(レジスタンスが敵対する生徒会長でメインヒロインのもう一角。小柄で幼顔で無表情でやや世間知らず。戦うと超強い)が好きですね。イラストにした時に映えるし。
カドコミュT:ビジュは天使なんですね…。ちなみに、この作品やキャラたちが今のLa-na先生のキャラデザとかに何かしらの影響を与えてるとしたら…それは何だと思います?
La-na先生:え、なんだろう……それはあんまり無いかもしれない。
カドコミュT:えーーー!「初恋アニメ」なのに?全く??
La-na先生:どっちかというと人生感に影響を受けた作品というか…。悔いを残して死んじゃった人たちの物語みたいな話なので。「あんまり悔いを残さないように生きよう」って思った作品だったという。
カドコミュT:な、なるほど…あともう2つほど聞いていいですか?
La-na先生:どうぞどうぞ。
カドコミュT:La-na先生の中で「Angel Beats!」の最高潮シーンって何話のどんなとこですか?
La-na先生:僕がめちゃくちゃ好きだったのは…テストを受けるシーンで男子たちが天井に頭をぶつけていく所ですね(第5話)。最高に笑ってました。
カドコミュT:なるほど……天使の答案用紙をすり替えて赤点を取らせるために、周囲の注目を集める奇行を求められた男子たちが次々スベッった結果、知らずに椅子の下に仕込まれていたロケットエンジン的なやつで教室の天井に打ち付けられていく(←だんだん面白くなっていきます)やつ……ゴリゴリのギャグシーンじゃないですか。人生感に影響受けた作品なのに。…いよいよここまで聞くと、このインタビューの中盤からそこそこスルーしていたところなんですが、La-na先生って「銀魂」好きですし、ギャグ物が大好きなんじゃないですか?
La-na先生:めちゃめちゃギャグアニメが好きってわけではなかったんですけど…結果的には好きですね。「日常」とかのアニメも好きなので、何も考えずに見られる系の話は好き。
カドコミュT:そうでしょ、そうでしょう? そして強引に最初の頃の「クノン」の話に戻しますが、先生は「平場の描き方に苦労している」とおっしゃってましたけど、そこら辺のギャグ好き素養がいい感じに出てる所もあるんじゃないですか?
La-na先生:どうですかね(笑)。もしかしたら、何かしらの蓄積があるのかもしれないですけど。
カドコミュT:否定はしないでくださるLa-na先生の優しさに、ありがとうございます(笑)。アニメ「クノン」を堪能させていただきつつ、そのもっともっと先を描いている漫画「クノン」のさらなる躍進とエピソード更新を楽しみにさせていただいております!

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