話題漫画の作者に話を聞く「カドコミュ」インタビュー。
今回は現在TVアニメ放送中の『クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった』の原作・たかた先生と同コミカライズを手がける尾野凛先生の双方にお付き合いいただき、貴重な「原作者×漫画家対談」のスタイルで取材をさせていただきました。
現在アニメ放送でさらなる人気を博している本作に関して、今日まで続けてきた(原作・漫画ともに続刊中)執筆への思い、そもそも二人が作家・漫画家になった道程…など根掘り葉掘り聞かせていただきましたので、是非最後までお付き合いください。
ちなみにまだ本作品を全く知らない方々に…「クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった」とは…


日陰男子と2番目ヒロイン、等身大の“友だち”ラブコメ!!
クラスでぼっちな俺・前原真樹に、初めてできた友だち・朝凪海。
いつも輪の中心にいて、他の男子からは『クラスで2番目に可愛い』と陰で噂される朝凪さん。日陰者の俺なんかと住む世界が違う――と思いきや、まさかのB級映画好き!? ひょんなことから友だちになった朝凪さんは、金曜日の放課後だけこっそり俺の家に遊びに来る。映画にゲーム、漫画の趣味も合う彼女との楽しいひととき。「ねえねえ、前原ここ!特別に座っていいよ」「もともと俺のベッド…」「今日だけは私のベッドなの。ほら、おいで?」距離近くないか、朝凪さん?
(カドコミより)

という、人付き合い苦手男子×2番手人気女子の青春ストーリーです。
注目すべきは、本作の評判として多く聞く「互いを気遣い合う真樹と海の姿が自然で誠実だ」という声。特にアニメ放送開始後のSNSでは、丁寧に距離を縮めていく二人をにこにこ見守る声が増殖中。そんな反応には、人気者女子にドキドキする多くのラブコメとはちょっと違う、本作独自の優しい世界を感じます。
また、タイトルテーマである「2番目」ヒロイン・海の掘り下げ方も秀逸で、「2番目ならイケるかも…」と言い寄ってくる男たちや、1番人気女子・天海夕(←とてもいい子です)の親友としての立ち回りの難しさなどの苦労要素に「なるほど…」と心を掴まれる人も多数。不器用で善良な主人公・真樹の共感性も高く、読み進めていくうちに「クラスで2番目に可愛い」=「世界で1番尊い」と思えてくる…そんな不思議な腹落ち感を覚えるラブストーリーです。全く別モノではありながら、根底としてはサブヒロイン・負けヒロイン好きにも刺さるところがある作品だと思いますので、漫画もアニメも是非見てくださいね。
では、インタビュー始めさせていただきます!
■当初「クラにか」は2年生までで終わりにしようと思ってた(たかた先生)
カドコミュT: たかた先生、尾野先生、宜しくお願いいたします。今回は「クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった」(以下「クラにか」)アニメ放送タイミングということで、同作のアニメ化についての率直な感想をお聞かせ願えればと思うのですが…まず一旦アニメを外れまして、いままで原作小説や漫画「クラにか」を続けて来たことへの思いから伺えればと思います。
たかた先生が小説の連載を始めてから6年目、尾野先生のコミカライズが始まってから4年目となる現在、「クラにか」はシリーズ累計160万部という堂々たる数字を叩き出してらっしゃいます。まずはそれらの事実を踏まえて「我々ここまでよくやってきたな」的な達成感や満足感みたいなものがあったら是非お聞かせください。
たかた先生: では、自分から。どれだけ時間が経ったかというのは…自分ではあまり意識してなかったんですけど、よくよく考えると原作1巻が出たのが確か2021年の12月だったはずで…そう考えるとなんか「早かったな」っていう感想ですね。もうとにかく目の前の仕事というか、連載に書籍化にとやっていたらあっという間で。「ここまでもう5年以上経ったのか…」っていう感じですね。
カドコミュT: 7.5巻を含めたら、その期間に10冊も出てますね。
たかた先生: そうですね。大体4ヶ月に1冊とか5ヶ月に1冊とかそのぐらいなので、割とスムーズに作業自体は進められたかなと。そこまで大変だったというか、詰まったっていう記憶もなくて、割とずっと楽しくやれたなっていう風に思っています。
カドコミュT: なるほど。ちなみに4/1に出た原作小説9巻から物語は3年生編に突入しましたが、3年生編まで描くのは当初からの予定通りだったんですか?
たかた先生: いや、原作で2巻以降を書こうって決めた時に、当初予定では大体2年生までで終わりにしようかな…っていう風には考えてたんです。実際、カクヨムの方では、今ちょっと連載が止まっちゃってるんですけど、多分2年生編を全部書き切ったらそれで終わりっていう形でやってます。ただ、それだとちょっと短いかな…とも思っていたので、書籍にするにあたってはあえて3年生の話も追加して書いたっていう形ですかね。今回のアニメ化などの話をいただいていたこともあって、それだったらできるだけ高校生活を最後まで書いた方がいいんじゃないかなと。
カドコミュT: なるほど、ありがとうございます。では尾野先生にお聞きしたいのですが、コミカライズが始まって、今4年目ですかね。この3年間で現状コミックスは7巻まで出ているところで、よく頑張ったと…是非自分で自分を褒めてあげていただきたいなと思うんですけれども、感想をいただけますでしょうか。
尾野先生: はい。私はそもそも漫画「クラにか」が初めての連載なんですね。連載を始めた時は本当にド新人で…私も目の前にあるものをやっていたら、気づいたら今になってたって感じが強くて、まだ一息ついて何かを言えるような心情でもないのですが…。ただ「クラにか」は、関わっていただいた方々に恵まれていて、本当に楽しくやらせていただいてるので「これからも頑張ろう」みたいな気持ちでいますね。
カドコミュT: 素晴らしいですね。たかた先生と尾野先生、あと双方の編集者の4人で飲みに行ったこともあるって聞いてます。いい関係だな、と。
尾野先生: (笑)。とにかく「私は全然疲れてないし、引き続きウキウキとやっております!」って感じです。
■アニメ化は商業作家としての分かりやすい目標だった(たかた先生)
カドコミュT: さて、「クラにか」はこの4月7日からアニメ放送が開始されました。本作のアニメ化に関してはコミックス3巻(2023年10月発売)のあとがきなどで触れられていましたが、それから2年半経って、満を持しての放送開始。このタイミングでの感想をたかた先生から聞いてもいいでしょうか?
たかた先生: はい。やっぱりアニメ化は商業で本を出す立場の人間としては1つの…すごく分かりやすい目標でしたし、実際デビューしてから「できればそういう話もあったらいいな」とずっと思ってたところがあるので、アニメ化の話をいただいた時は嬉しかったですね。あとその話をいただいたのが、「クラにか」を始めてからけっこう早いタイミングだったこともあり、当時「本当に? 本当にするの?」って驚いた感じもあります。
カドコミュT: 尾野先生はいかがでしょうか?
尾野先生: 私はなんだろう…先ほど申し上げたように初めての連載で、漫画を描くって仕事もよく分かってないし、メディアミックスとかの仕組みも分かってなかったので…当時は他人ごとみたいな「おめでとうございます!」「凄いですね!」みたいな距離感でしたね。今も結構、普通にファンとして楽しみにしているっていう立場でおります。
カドコミュT: アニメ化が進む中では、資料を見たり、PVを先行して見たりと、何かしらアニメと関わるタイミングもあったのではないでしょうか?
尾野先生: そうですね。キャラクターデザインの資料をちょこっと確認というか拝見したりはしていました。
カドコミュT: コミカライズで初めてビジュアル化されたサブキャラクターなどもいますからね。
尾野先生: はい。メインキャラクターに関しては、私はデザインが元々あるものを書き起こしてる立場でしかないんですが、主人公のお母さんたちとか先生などはキャラクターデザインが原作小説になかったので、恐れながら私が描いちゃったものなんですよね。で、主人公のお母さんや担任先生の資料を見たときに「私が描いたキャラデザだ…」「そうか、この大人キャラたちは私のデザインで行くのか…」と思って……その時がアニメとの繋がりを1番実感したタイミングでしたね。「あ、ヤバい。私、関係者だ」って。

左から尾野先生の手によってビジュアル化された海の母、真樹の母、真樹&海のクラス担任の先生
カドコミュT: ちなみに…その「ヤバい」の感情を分類すると…嬉しかったですか? 怖かったですか?
尾野先生: めちゃくちゃ嬉しかったです(笑) もちろん喜びの感情ですよ!
カドコミュT: (笑)素晴らしい。 たかた先生はPV が完成したりっていうタイミングでジンと来たりとかそういうのはありましたか?
たかた先生: そうですね。実際に映像としてちゃんとキャラクターが動いてるのを見ることができた時に、「本当にアニメになるんだな」という実感が出てきた…っていうところはありますね。その前から絵コンテとか、脚本をまだ作ってる段階とかから監修などで関わっていて、実際映像として形ができるまでは時間かかってるので、そういったところでもやっぱり感動というか喜びもありました。
■学生時代は作家・漫画家になるなんて思ってなかった(たかた先生&尾野先生)
カドコミュT: ありがとうございます。では、一旦話題をガラッと変えさせていただいて、両先生にそもそもの作家・漫画家になるまでのヒストリー的なものを聞かせていただければと思うのですが、たかた先生から聞いていってよろしいでしょうか?
たかた先生: はい、分かりました。
カドコミュT: たかた先生はいつ頃からどんなものを書き始めて、それが今の先生の創作活動にどう繋がっていったんでしょう…っていうところから聞いてもいいでしょうか? 書き始めたのは学生時代から…ですかね?
たかた先生: そうですね…小説自体は学生時代にそんなに書いてたわけではなかったんです。どちらかと言うと漫画ばっかり読んでいた時期で、特に高校生の時とかは、本当に短い期間ですが漫画を描いていた時期とかもあったりしました。ラノベもその頃から読み始めてはいたんですけど、ただ実際プロになりたいとか、なれるかどうかみたいなのは…そんなのもう「なれないだろう」って思っていたんです。なので、あくまで趣味の範囲でやっていたという。学生時代は普通に漫画とかゲームとかをやりながら普通に卒業して就職して…っていう感じでしたね。
カドコミュT: なるほど。で、一旦就職で忙しくなって創作を離れたたかた先生に、その後、また書こうかなっていうタイミングがくるはずなんですが、その時は「もう何年ぶりに書くな…」みたいな感じだったんですか?
たかた先生: そうですね…書くこと自体は大学時代にはもうほぼほぼやってない状態で、働き始めてからは創作する余裕もなかったというか、本当に仕事に行って帰って寝るだけみたいな生活をずっとやってましたからね。また書き始めたのは、その新卒で入った会社を退職して、ちょっと時間ができたのでっていう時だったので…7、8年ぶりぐらいでしたかね、多分。そのぐらいはブランクがあったんじゃないかなとは思います。
カドコミュT: 再び筆を執ったのって、どんないきさつでどんなタイミングだったんでしょう? 現在のカクヨムを見る分には多分2017年の「年上エリート女騎士が僕の前でだけ可愛い」が最初の連載であり、また最初のコミカライズ作品になってくるのかなと思うのですが。
たかた先生: 当時は「小説家になろう」などから書籍化される作品とかが色々出始めてきていた頃で、同時にカクヨムのサイトがオープンをするっていうタイミングだったんですよね。そんな中で「Web小説であれば、また趣味でちょこちょこ書いていけるかな」って書き始めたんです。カクヨムが始まったっていうのも自分にとってはいいきっかけになっていて「年上エリート女騎士が僕の前でだけ可愛い」の前にも作品は書いていたんですけど、実際に「コンテストに出そう」みたいな感じで書き始めたのは…「年上エリート女騎士」あたりが最初のタイミングだったと思います。仕事をしながら、書きつつ、とりあえず1回応募してみようかっていうので同作を出したら…自分でも本当にびっくりしたんですけど、KADOKAWAさんから連絡が来たっていう。それでも、カクヨムがオープンしてからデビューするまでは…多分2、3年ぐらいはかかってるんじゃないかなとは思います。
カドコミュT: カクヨムの第一話更新日を見るに「年上エリート女騎士」に続いて、2018年に…こちらもコミカライズされた「異世界覚醒超絶クリエイトスキル」があって、さらに2020年のたかた先生が何かとんでもないんですよね。「俺と先輩はつきあっていない」「気付いたらまわりに美少女しかいないラブコメ(でも私、女なんですけど)」「『お前は家族じゃない』とエリート一家から追放された俺を癒してくれたのは、十二年ぶりに再会した幼馴染でした」「異世界先生 ~転移教師、辺境の森で魔法学校始めます~」と「クラにか」で計5タイトル…この年に何があったんだ? っていう怒涛の勢いで描きまくっていたように見えるんですが…
たかた先生: えっと…どうだったか。でも「年上エリート女騎士」とか「クリエイトスキル」を書いていた時も時間の余裕は割とあって、自分の中で書きたいものっていうものもいろいろあったので、それを大体10万字とか20万字めどで書いていた…っていう感じかと。前の2作に関する書籍化作業自体もそんなに時間はかからなかったので、結構暇だったというか…時間があったんじゃないかなとは思います。
カドコミュT: 作品を書いてると「こういうのも書きたい」みたいな別作品のイメージが浮かんでくる感じですか?
たかた先生: それはありますね。やっぱり1個やってるとどうしてもなんか横道にそれたくなるというか、違うのも書きたくなる欲みたいなのは出てくるので。
カドコミュT: 異世界もの書いてたら、普通のラブコメ書きたくなる…みたいな感じですかね? 「クラにか」を書くに至ったのにもそういう流れが?
たかた先生: 「クラにか」に関してはちょっと違って、「『年上エリート女騎士』が終わって『次』」っていう企画タイミングだったので、書きたいとかじゃなくて仕事として「書籍化をするんだ!」っていう気持ちで作った感じですね。
カドコミュT: え、凄い。プロとして決めに行った作品だったんですね。
たかた先生: はい。そうなります。
カドコミュT: ありがとうございます。では、尾野先生のヒストリーについても聞いていければと。「クラにか」のコミカライズが最初のお仕事ということですが。そこに至るまでのストーリーをお伺いしても宜しいでしょうか?
尾野先生: 私もクリエーターになる前には会社勤めをしていた人間なんですけれども、たかた先生とはちょっと反対で、最初は文字の方に興味があった人間だったんです。当時はとにかく舞台脚本とかシナリオとかに興味があったりして。でも絵を描くのも好きだし、お話を作って書くってことが基本的にずっと好きだったので、漫画とかも描いてみたりはしていたんですが…プロになろうっていう強い熱意はなくて…
カドコミュT: そこからどうしてプロ漫画家に?
尾野先生: 趣味でいいかなっていうところでいたんですけど、そんな頃にコロナ渦で会社がリモートワークになったんですね。
カドコミュT: コロナ渦!
尾野先生: その時に、何を思ったかちょっと自分でもよく覚えてないんですけど「漫画家になろうかな」ってなんかフワっと思って…あんまりドラマがなくて申し訳ないんですけど(笑)
カドコミュT: いえいえ!そんなこと無いですよ! コロナの時はみんなちょっとフワフワしてましたからね。
尾野先生: あ、、ですよね? あの頃、みんなちょっとフワフワしてましたよね? で、リモートワークで通勤時間とかも減って、自由な時間がちょっとだけ増えたので4コマ漫画を書いてみて…で、漫画家になる方法が持ち込みだってことは知ってたので、最初は「コミック百合姫」さんっていう雑誌に出したんです。それが賞に引っかかって、読み切りとかのお仕事いただけるようになったんですけれども…やっぱりすごい素人だったというか、ちゃんと勉強もしてないし、「絶対これを書くんだ!」みたいな熱意が人一倍強かったわけでもなかったので、後で連載をしましょうかってなった時に上手く進まず、「これは…私には描きたい話がないのかな…」って考え込んでしまったりしまして…。そんな時に昔持ち込みしたことを覚えてくださっていたKADOKAWAの前担当さんが「よかったらこういうコミカライズのお仕事ありますけどいかがですか?」ってお声かけくださったんです。
カドコミュT: それが「クラにか」だったと?
尾野先生: はい。そのお声がけのメールに「クラスで2番目ー」ってタイトルだけ書いてあったので、どんな感じかなってカクヨムのサイトに読みに行ったんですが…その時に私ひと目惚れをしたんですね。すごく面白いし、すごく可愛いし。「これを私が漫画に起こしていいのか」って思って、嬉しくなって、その日か翌日かに「是非!やります!」ってお答えをしました。
カドコミュT: 決断が早い!
尾野先生: ただ、初めての連載で、当時私サラリーマンでしたし、続けられるだろうっていう自信もあまりなかったというか…「クラにか」の原作のポテンシャルを私の下手さで受け入れてもらえない可能性もあるんじゃないかって不安に思ってました。でも、思いのほか皆さんが読んでくださって、続けていけることになって、ちょっと会社に行く時間がなくなってしまって退職をして…気付いたら今こういう感じになっていたっていう状態です。なので…自分を漫画家って言っていいのか未だに微妙に迷う時もあったりして…
カドコミュT: 尾野先生!尾野先生は漫画家ですよ!ですよね、たかた先生?
たかた先生: はい。
尾野先生: ありがとうございます(笑)。
※前編は一旦ここまで。次回、たかた先生&尾野先生の現在に至るまでの影響を受けた漫画・エンタメ話、両先生が手ごたえを感じる読者からの反響、尾野先生が最初に「クラにか」原作を読んだときに一目ぼれしたポイントなどなどについて聞かせてもらった中編(5/8配信予定)に続きます。

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尾野凛(漫画) たかた(原作) 日向あずり(キャラクター原案)
あらすじ
日陰男子と2番目ヒロイン、等身大の“友だち”ラブコメ!! クラスでぼっちな俺・前原真樹に、初めてできた友だち・朝凪海。いつも輪の中心にいて、他の男子からは『クラスで2番目に可愛い』と陰で噂される朝凪さん。日陰者の俺なんかと住む世界が違う――と思いきや、まさかのB級映画好き!? ひょんなことから友だちになった朝凪さんは、金曜日の放課後だけこっそり俺の家に遊びに来る。映画にゲーム、漫画の趣味も合う彼女との楽しいひととき。「ねえねえ、前原ここ!特別に座っていいよ」「もともと俺のベッド…」「今日だけは私のベッドなの。ほら、おいで?」距離近くないか、朝凪さん?

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